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どんな時に「休業手当」が必要?ー特に気を付けたい、有給付与前の従業員の労務管理

労務管理で外せない項目の1つが”休業手当”。会社の都合で仕事を休ませた場合、

休みになった日を、勤怠管理や給与支払上、どのようにフォローしていますか?

特に入社間もない従業員の場合は有給も無く、ただ欠勤として扱うだけでは本人にとって不利益ですよね。

このブログでは、労働基準法の観点から「休業手当」の必要についてご紹介します。

目次

休業手当について知りたい!休業手当の基本の「キ」

使用者の責に帰すべき事由による休業(つまり、労働者は労務の提供ができる準備があるのに会社命令で休まざるを得なくなった休業)の場合、使用者は休業期間中に平均賃金の100分の60以上(※)を休業させた労働者に支払わないといけません。

休業手当が支払われるべきか否かの判断にあたっては「使用者に責任があるかどうか?」で判断します。
例えば、休電といったような使用者にとっても制御不可能な理由での休業は対象となりません。
よく検討されるケースとしては「親工場の経営難から下請け工場が資材、資金の獲得ができず休業」といった事案がありますが、これは「休業手当の支給に該当」します。

※労働日の一部を休業させた場合は、実働部分に対して支払われた賃金と休業手当が合計して100分の60以上になればOKです。

平均賃金の算出方法を理解しよう

平均賃金とは、労働者の3か月間の賃金の1日あたりの平均を指します。
平均を求めるにあたっては、以下の計算式で求めることになりますが、賃金締切日がある場合は「算定事由発生日の直前の賃金締切日」から起算します。

◆平均賃金の求め方◆
算定すべき事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額÷算定すべき事由の発生した日以前3か月間の総日数



※注意点※
分子になる賃金総額には、以下のものを含みません。
【1】業務上の負傷又は疾病による療養のための休業期間
【2】産前産後の休業期間
【3】使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
【4】育児・介護休業期間
【5】試みの使用期間

・総日数とは?
総日数とは総労働日数のことを指します。
例えば8月・9月・10月の3か月で平均賃金を求める場合には31日+30日+31日を足した92日が総日数となります。

・雇入れ後3か月未満の労働者に対して平均賃金を算定すべき事由が発生した場合は?
雇入れ後の期間及びその賃金により平均賃金を算定します。
雇入れ後3か月に満たない者であっても賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。

休業手当の発生事例をケース別にご紹介

休業手当についてなんとなくわかったけど、どういうときに必要になるのか事例を知りたい!
そんな方へ向けて、よくある事例を2つご紹介します。
case1は新型コロナウイルス感染症がまだまだ収まらない中、ぜひ理解しておきたい視点です。
case2は、年次有給休暇の5日取得義務化に伴って理解しておくべき事例です。

case1:コロナで不況に…。会社を休業し、従業員を休ませた場合。

コロナの影響で売り上げが低迷し、営業日を減らしたり営業時間を短縮したりといった策を取る企業もあるかと思います。
それに応じて従業員の労働日数・労働時間を削減することになりますが、これは従業員にとって収入面で大ダメージになります。
そこで、企業は休業手当として所得補償をする必要があるといった考え方になります。

case2:会社で決めた計画有給日に入社間もない従業員を休ませる場合。

計画有給日を定める企業の場合、入社間もなくて有給が発生していない従業員については欠勤扱いになってしまいます。
その時は、休業手当として所得補償をする必要があります。

ー計画有給とは?ー
計画有給(計画年休)は、前もって計画的に休暇取得日を割り振るため、労働者はためらいを感じることなく年次有給休暇を取得することができます。
計画的付与制度で取得した年次有給休暇も5日取得義務化の5日としてカウントされます。

休業手当はいつ払う?

休業手当は、労働基準法での「賃金」に該当します。
賃金には「賃金支払の五原則」といった基本ルールがあるので、これに従って賃金支給日に支払う必要があります。
休業によって労働者の生活が脅かされないように定められたものですので、通常の賃金と同様に一定期日に支払うといった考え方となります。

また「休業手当は賃金に該当する」といった考えから、休業手当は労働契約等によって休日に定められている日には支給義務は発生しません。

休業手当を支払わないとどうなるの?

休業手当を支払わない使用者に対して、裁判所が「付加金」の支払いを命じるといった仕組みがあります。
付加金は未払額と同一額のため、未払い額の倍を支払うことになります。

・付加金の支払いが命じられる条件
①使用者が「休業手当」「解雇予告手当」「割増賃金」「年次有給休暇中の賃金」を支払わないとき
②労働者が未払いの違法から5年以内(当分の間3年)以内に裁判所に請求

このリスクを回避するためにも、適切に休業手当を支払うよう管理に努めたいですね。

おわりに

いかがだったでしょうか?
やむを得ない休業が発生してしまった場合でも、休業手当を支払うことで労働者の生活を保障するといった使用者の責務について理解してもらえたと思います。
人員削減ではなく、雇用の維持に努めたいものですね。

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