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雇入時健康診断の検査項目とは?費用負担義務についても解説!

転職などで新しく会社への入社が決まった際、健康診断について案内を受けたことはありますか?

常時雇用される場合、入社時には「雇入時健康診断」を受ける必要があります。

このブログでは、雇入時健康診断がどのようなものか社労士が分かり易く解説します。

企業はもちろん、従業員も理解しておきたい知識なのでぜひご覧ください!

目次

雇入時健康診断って?

雇入時健康診断の説明に入る前に、企業(事業主)に健康診断が課せられている背景について確認していきましょう。
まず、根拠となる法律は安全衛生法66条1項にあり、そこでは以下のように定められています。

安全衛生法66条1項
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(労働安全衛生法66条の10第1項に規定する検査〔ストレスチェック〕を除く。)を行わなければならない。

ここでいう「健康診断」には、大きく分けて「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2つに分類できますが、そのうち「一般健康診断」の中に雇入時健康診断が含まれています。

分類して一覧すると、以下の通りになります。

<一般健康診断> ・雇入時健康診断
・定期健康診断
・定期健康診断(特定の業務に配置換えの際の健康診断)
・海外派遣労働者の健康診断
・給食従業員の健康診断

<特殊健康診断>・特定の有害業務の健康診断(有害業務従事中に対するものと、過去に従事した者に対するものとがある)
・歯科健康診断

雇入時健康診断ではどんな検査項目がある?

雇入時健康診断での検査項目は安衛則43条にて全11種の定めがあります。

安衛則43条
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
①既往歴および業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査
⑤血圧の測定
⑥血色素量及び赤血球数の検査
⑦肝機能検査
⑧血中脂質検査
⑨血糖検査
⑩血中の糖および蛋白の有無の検査
⑪心電図検査


ここでよく質問にあがるのが「ちょうど最近健康診断を受けたところなんだけどまた受けなおさないとダメ?」といったケースです。
この質問に対する答えとしては、『3か月以内の検査結果で、項目が充足しているのであれば省略可能』といった回答になります。

雇入時健康診断の費用は誰が負担するのか

この問いに対しては、昭和47年に出された通達にて「労働安全衛生法の規程により実施される健康診断の費用については、労働安全衛生法で事業者に実施の義務を課している以上、事業者が当然負担すべきものである」とされています。
そのため、事業者としてはせめて雇入時健康診断の費用負担を回避したいといった思惑もあり、前述した「3か月以内の健康診断結果」の提出を求めてくるケースもあります。

健康診断を受診している時間の賃金はどうなるの??
健康診断の受診費用だけでなく、健康診断の受診のために要した時間に対する賃金についても気になるところかと思います。
これに対しても通達が発表されており、一般健康診断と特殊健康診断で異なりますが、雇入時健康診断が該当する一般健康診断に対しては「当然には事業者の負担するものではないが、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」とされているので、一般的には受診時間に対する賃金も支払うケースが多い傾向にあります。
※特殊健康診断は賃金の支払いが必要です。(時間外に行われた場合は割増賃金も伴う)

雇入時健康診断をきちんと実施していますか?

ここまでで、事業主には健康診断の実施義務があることと、健康診断の種類、そして雇入時健康診断の詳細についてご案内してきました。
事業者に義務が課せられると同時に、従業員に対しても安衛法66条5項で「労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない。」と定められているので、労使ともに雇入時健康診断はもちろん、すべての必要な健康診断について適切な実施に努めることが必要と言えますね。

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