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社労士試験について知りたい人必見!難易度についても現役社労士が解説

社労士になるには社労士試験を突破する必要がありますが、社労士試験は国家資格であり、いわゆる難関資格と言われているものです。

毎年8月末に行われるこの試験。つい先月終わったところですが、今回のブログではこの社労士試験の概要についてご紹介していきたいと思います。

弁護士や税理士などと比較するとまだまだ知名度が劣るかもしれませんが、このブログを通じて、ひとりでも多くの方に社労士について興味を持っていただけると嬉しいです。

AIの登場により、士業の活躍の場が失われるなどといった意見もささやかれますが、社労士の仕事はただ法律を知っているだけではなく、相談者の隠れたニーズや困りごとを引き出して寄り添う力が求められる、とてもやりがいのある仕事です。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

社労士試験の概要について知ろう

まずは社労士試験の概要についてご紹介します。
■試験の実施日
毎年8月の最終日曜日に実施されています。後述する通り試験科目が多いため、ほとんど1日拘束されるので覚悟が必要です。
また、お盆休みが試験の超直前期となりますが、社労士試験において直前期の追い込みは結果を左右するとも言われています。
直前期の特別講座も各スクールで開講されるなど、多くの受験者が追い込みに入るので、直前期でペースダウンしていてはもったいないです。
お盆休みを試験勉強に充てることができるよう、仕事や家庭の調整も必要になってくる点でも注意が必要ですね。
■受検地
各都道府県での実施があるため、申込時に希望する受検地(都道府県)を選択します。しかし、この段階で具体的な場所は明かされておらず、受験票が手元に届くまでわからない状態が続きます。
遠方から前泊する方などは、受験票が届いたらすぐに受検地を確認することが必要です。
■受験料:こちらは少し前に値上げがされてしまい、令和5年度の受験料は15,000円でした。インターネットで申込の際にクレジットカードで決済することも可能です。
■受験資格:社労士試験では「学歴による受験資格」「実務経験による受験資格」「試験合格による受験資格」が定められています。社会保険労務士試験オフィシャルサイトに詳しく紹介されているので、受験資格を満たしているか必ず確認しておきましょう。
初回受検では、自分の受験資格を証明するために各種添付書類が必要になりますが、惜しくも初回で合格とならず2度目以降の受験となった場合は、過去の受験の成績結果を提出することで受験資格に必要な添付書類の省略が可能です。

社労士試験ではどんなことが問われるの?

受験を検討しているみなさんがいちばん気になるのは、社労士試験ではどんなことが問われるの?(どんな問題がでるの?)というところではないでしょうか。
社労士試験は科目数が非常に多く、また科目合格制度が設けられていないのが特徴です。
つまり、どれだけ他の科目で満点近い高得点をたたき出していても、どれか一つでも足切り(合格に必要な基準点を下回ってしまうこと)になると、不合格になってしまうのです。
また、社労士試験では午前に選択式、午後に択一式での試験が行われます。
選択式は、各科目ごとの問題文に5つの空欄があり、それらに当てはまる言葉を語群の中から選択して埋める問題です。
択一式は、5肢のうちから答えを1つ選ぶもので、正しいものを求められる問題もあれば、正しくないものを求められる問題、あるいは正しい(正しくない)選択肢の組み合わせを求められる問題、それから正しい(正しくない)選択肢の数を求められるいわゆる個数問題というものもあります。
このように、たくさんの科目について、あらゆる角度から実力が試されるのが社労士試験といえるでしょう。
それでは、各科目について確認していきましょう。

労働基準法及び労働安全衛生法

労働基準法は多くの方にとっても耳なじみのある法律名称ではないでしょうか。
職場で労使の問題が起こる際も、この労働基準法を争点に揉めていることが多いと思います。
この労働基準法は社労士の活躍範囲(知識範囲)ではベースになる法律科目です。
労働時間に関する考え方などについて学びます。
労働安全衛生法は、もともと労働基準法に内包されていた内容でしたが、複雑化したことに伴って独立した法律です。
実は、労働者を雇う会社において、部屋の温度や湿度、照明の明るさなどが法律によって決められていることを知っていましたか?安全衛生法ではそのような職場環境に関することを中心に学びます。

労働者災害補償保険法

「労災」と略称で呼ばれることの多い法律です。
働くにあたって、業務中にケガをする恐れや、通勤中に事故に遭ってしまう可能性がありますよね。
それらの危険性が現実化してしまった際に、適切な保護が受けられるようもろもろのルールが定められています。
そもそも労災が認められるのはどんなシチュエーション?といったことから、給付の内容などを学びます。

雇用保険法

みなさんの給与明細でも「雇用保険料」が控除されていませんか?雇用保険では労使で保険料を負担し、失業してしまった際の基本手当(多くは失業保険とも呼ばれていますね)や、育児休業給付金などの財源に充てられています。
そのほか企業が活用できる助成金なども雇用保険に関連します。
雇用保険が適用されるのはどんな事業所?雇用保険の被保険者になれるのはどんな従業員?そして保険料率は何パーセント?といったことから、いざ失業した際には何日分の手当がもらえるの?といったことを学びます。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

この法律は、「徴収法」と呼ばれます。雇用保険や労災保険をまとめて労働保険と呼称しますが、徴収法では、労働保険の保険関係の成立や消滅についてのルールを学びます。
その他、労働保険事務組合についてもこの徴収法の範疇です。
なお、徴収法は選択式では出題されず、労災保険と雇用保険の択一式で数問出題がされます。

労務管理その他の労働に関する一般常識

受験生の間では「労一」と呼ばれ、この科目が社労士試験における鬼門になります。
他の法律科目は抑えるべきところがあるので対策を取りやすいのですが、労一は範囲が広く対策が非常に難しいです。
科目名としては一般常識とされているものの、統計などマニアックな出題もあり、多くの受験生の悩みの種となっている科目です。
とはいえ、労働者派遣法や最低賃金法なども労一の出題範囲なので、そのあたりを押さえることでぐっと得点力は高まります。
また、労一は選択式では独立科目として出題されますが、択一式では後述の社会保険に関する一般常識(社一)とともに出題されます。

社会保険に関する一般常識

先ほど述べた「労一」と同様に、こちらは「社一」と受験生の間では呼ばれています。
社一にはたとえば児童手当法や社会保険労務士法、船員法もこの社一として出題されます。
労一よりは比較的対策が取りやすい科目とされています。

健康保険法

みなさんも病院にかかるときは健康保険証を提示しますよね?そういった意味で健康保険法はとても身近な法律ではないでしょうか。
健康保険として受けられる保険内容について学ぶ科目ですが、国民健康保険は上述の社一になります。
知っていると生活面で役立つ知識も得られる科目でもあります。

厚生年金保険法

おもにサラリーマンなどの会社員が加入する年金制度である厚生年金。おじいちゃん・おばあちゃんになってからもらう年金(老齢年金)のイメージが強いかもしれませんが、障害を負ったときや遺族に対する制度もあります。
次に紹介する国民年金の2階部分にあたる制度であり、国民年金との共通点も多くあります。

国民年金法

厚生年金と同様に、年金制度について学びます。両者に違いもありますが、共通点が多いので横断的に学習すると総合的な得点力があがるので、年金を得意科目にできるととても有利です。

社労士試験の難易度は?

冒頭でも述べた通り、比較的難易度が高いと言われている社労士試験。
令和4年(第54回)ではその合格率は5.3%でした。令和3年(第53回)は7.9%、令和2年(第52回)6.4%と、例年合格率が低いことが分かります。
このブログ内で繰り返し述べているとおり、科目数(出題範囲)が広いことや、科目合格がないこと、足切りがあることが合格率の低さに大きく影響していると思われます。
とはいえ、記述問題はなく、選択式・択一式ともにマークシート式なので、答えに窮したときも何かしらの選択肢を選ぶことが出来る点で、記述問題がある試験よりは解きやすいともいえるかもしれません。

おわりに

本日は、社労士試験についてお送りしました。
社労士試験ってどんなのかな?と気になったかたの参考になっていると嬉しいです。
開業体験記が、開業社労士専門誌『SR68号』(日本法令)に紹介されたことも過去のブログでは取り上げています。
社労士になったあと、開業社労士になることに興味をお持ちの方はこちらもぜひ併せてお読みください。

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