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障害者雇用がもたらす企業メリットは法定雇用率の達成だけじゃない!

障害者雇用について、みなさんはどんなことをご存知でしょうか?

たとえば国の決まりで一定数規模の事業主は雇用義務があることは何となく知っているよという方もいらっしゃるかもしれません。

雇用義務がある企業が雇用すべき障害者の人数の算出には定められた雇用率を用います。

また、雇用義務が発生する企業規模かどうかを判定する際しての計算には、職種を考慮して時限措置として除外率というものがあります。

義務として障害者雇用を推進する背景としてはどのようなことが考えられるのか、また、実際に障害者の方と共に働くために私たちには何ができるのか。

このブログでは、制度が導入された背景から障害者雇用の実態までご紹介していきたいと思います。

ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。

目次

障害者雇用の義務が生じる企業規模って?

障害者雇用にはルールがあります。ルールの根拠には障害者雇用促進法があり、その43条第1項では次のように明文されています。

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。

「一定数以上の規模の事業主」が指す企業規模は、2023年11月時点で「従業員を43.5人以上雇用している事業主」とされており、この人数規模以上なのであれば最低1人は障害者の方を雇用する義務が生じます。
従来は従業員数45.5人以上とされていましたが、令和3年3月1日より従業員数43.5人以上に対象が拡大されました。
また、多店舗展開している事業で、その支店では人数が少ないといった形態もあると思います。しかし、ここでいう従業員数43.5人以上とは当該企業に属する本社、支社、支店、営業所、工場、事務所等全ての事業所を合わせて考えます。

障害者雇用の義務を知るうえで、その背景や意義に触れる必要があります。
障害者雇用を実現する大きな意味合いとしては、「共生社会の実現」や「多様な人材の活用」があります。
そもそも私たちは障害の有無にかかわらず、就労意欲をもって社会参加できる「共生社会」を作っていく必要があります。その共生社会の実現において、障害以外にも例えば性別や国籍など、多様な個性が受け入れられる社会である「ダイバーシティ」の視点が重要になってきます。
そして、障害の有無にとらわれない多様な人材の活用をもって企業の競争力を高めていくことこそが、企業や社会の目指すべき方向だとされています。

除外率制度について

冒頭でも述べた通り、職種の性質によっては急な障害者雇用への対応が難しいケースもあります。
準備が整わない環境での障害者雇用の受け入れは、障害を抱える従業員にとっても働きづらいものです。
そこでそのような職種は段階的に障害者雇用に対応できるよう、「除外率制度」というものを適用して障害者雇用の義務に該当するか否かを判断することになっています。
少しわかりづらいのですが、実はこの除外率制度は法律上はすでに廃止されています。いわゆるノーマライゼーション(障害の有無によって排除されることのない社会)の観点から廃止が決められました。
しかし、時限措置(経過措置)として当分の間は除外率が適用され、この除外率は徐々に縮小させ、最終的には法律通り廃止される方向に向かっています。

では、どのような職種でこの除外率が適用されていると思いますか?
例としていくつか挙げると次のようなものがあります。
<除外率が適用される職種の一例>
・建設業
・警備業
・鉄道業
・医療業
・幼稚園
・小学校
いかがでしょうか?やはり一般的に危険なイメージのある職種や、注意力が求められる職種が多いことが分かっていただけるかと思います。

障害者雇用の義務を守らないとどうなるの?

障害者雇用の義務(法定雇用率の達成義務)を満たせない場合、一定の企業には「納付金」という名目でお金を払う必要があります。
具体的には次の通りです。

<障害者雇用納付金制度について>
対象:常用労働者総数が100人を超える事業主で、障害者法定雇用率(2.3%)未達成の事業主
障害者雇用納付金の額:不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円
障害者雇用納付金の使い道:納付金を財源として障害者雇用調整金、報奨金、在宅就業障害者特例調整金、在宅就業障害者特例報奨金、特例給付金及び各種助成金に充てる


障害者雇用がもたらすメリット

障害者雇用がもたらすメリットとして語られやすいのは、企業にとっての各種優遇措置ではないでしょうか。
障害者雇用を積極的に推進していくには企業側の準備や環境整備にかかる費用も生じることから、例えば障害者の雇い入れ等を支援する助成金(一例として、特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金など)が用意されていたり、税制上の優遇措置が適用されたりします。
その他にも、前の章で述べた「障害者雇用納付金」のある種対極のものとして「障害者雇用調整金」や「報奨金」があります。
つまり、法定雇用率に未達の企業より徴収するのが「障害者雇用納付金」ですが、法定雇用率を超えて積極的に障害者雇用に取り組んだ企業に支給されるのが「障害者雇用調整金」です。(一定規模以下の事業主の場合は「報奨金」)
これらについての詳しい説明は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)のHPでも紹介されているので、より詳細を知りたい方はぜひリンクから確認してみてください。

このように、いわゆる金銭としてのメリットばかりがフォーカスされがちですが、私は障害者雇用がもたらすメリットはもっと他にもあると考えています。
というのも、障害者雇用に対応できる職場環境が整うということは、すなわち多様な人材を受け入れる土壌が整うことに近づくと言えると思うのです。
障害の有無に対しての配慮だけでなく、どんな特性のある従業員にとっても働きやすい快適な職場環境になれば、より多様な人材を適材適所で活かすことに繋がるといえるのではないでしょうか。

障害者雇用でわたしたちにできること

障害者雇用によって障害を持つ方が職場に仲間入りしたら、私たちにはどんなことができるでしょうか?
あたたかく迎え入れることはもちろん、障害者ということだけに反応して接するのではなく、その人の得手不得手を理解して協力していけるとよいでしょう。
障害者雇用といっても、抱える障害は様々です。身体の障害もあれば精神の障害もあり、一見するだけでは障害を抱えていることが分かりにくいケースもあるかもしれません。
そんな時こそ、偏見や先入観を持たず、その方個人を把握してお互い得意を活かして活躍できるように協力する心掛けが大切です。

おわりに

いかがだったでしょうか。障害者雇用といっても障害となっている病気もそれぞれですし、障害の重さも異なります。
障害者雇用でひとくくりにせず、それぞれの障害による困りごと理解して対応する姿勢が求められます。
障害を抱える従業員が苦手とする作業や動作を企業や一体となって補完しつつ、障害を持つ従業員が得意な能力を発揮することで活躍することができれば、企業ひいては社会への貢献が実現します。
働くことによって得られる喜びを、障害があるからといってその機会を取り上げられるのではなく、多様な個性を互いに発揮できる社会になることを私も望んでいます。

今回は障害者雇用について取り上げましたが、少しでもみなさんの参考になっていると幸いです。
このブログは毎週月曜日に週1度のペースで更新しています。ぜひ、またのぞいていただけると嬉しいです!

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