社会的スティグマについて考えよう。偏見がメンタルヘルスケアの普及の障害になっているってホント?
「社会的スティグマ」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。「スティグマ」は日本語でいう「差別」や「偏見」といった意味を指しており、社会的スティグマと表現した場合は少数派の属性に対するマイナスイメージを意味して使われることが多いです。多様性を大切にする現代において、この社会的スティグマは本来あってはならないものです。差別の意識がなくとも、あなたの中に潜在的な社会的スティグマはありませんか?
今回のブログでは、スティグマの中でも特にメンタルヘルスに対する社会的スティグマに焦点をあててお送りします。メンタルヘルスに悩みを抱える人が多くなってきている中で、徐々にメンタルヘルスへの理解も進んでいると言われますが、まだまだ社会的スティグマが存在するのもまた事実です。
このブログを通じて、少しでも多くの人にメンタルヘルスに対する社会的スティグマについて考えるきっかけをもっていただけると幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
社会的スティグマとは?
冒頭でも述べたとおり、社会的スティグマとは社会的な偏見や差別を意味しており、病気や障害・性自認に関すること・その他国籍や出自など、社会的にみて少数派に対する属性を差別することを指します。
「スティグマ」の語源は古代ギリシアに遡るとされています。古代ギリシアにも身分による差別があり、身分の低い者や罪を犯した者に対して体に印をつけたそうです。この印とは腕輪をつけさせたり、体に焼き印をしたりといった物理的な意味だったと想像できますが、現代に当てはめて考えると「烙印を押す」「レッテルをはる」といった表現が近いかもしれません。
多様化が叫ばれて久しいですが、まだまだ社会的スティグマ(社会的な偏見)というものは存在し、特定の属性を苦しめることがあります。
社会的に蔓延っているものもあれば、自分の中に無意識に根付いたスティグマもあるでしょう。
社会的スティグマによってメンタルヘルスケアの普及が進まないってホント?
様々な領域や属性に対する社会的スティグマがありますが、メンタルヘルスに対して向けられる社会スティグマもあります。
例えば精神疾患にかかることを恥ずべきこと・伏せておくべきことと認識する風潮のため、本人が自身のメンタルヘルスについて正直に声を上げづらいような状況はないでしょうか?
また、精神疾患に対する心無い形容やネットスラングもメンタルヘルスに対するスティグマといえます。
ひとむかし前には、日本においてもメンタルヘルスに対する理解が現在よりも遅れていて、メンタルヘルスに悩みを抱える人の人権がないがしろにされたり、子どもを持つべきでないとされたり、ひどい時代がありました。
そういった時代背景で生まれた社会的スティグマもあってか、今でもメンタルヘルスに対しての偏見は完全になくなったとは言い難いです。
こうした社会的スティグマがメンタルヘルスの普及に及ぼす悪影響は少なからずあり、例えば自分自身に精神的な不調が見られても、潜在的な社会的スティグマが足かせとなって受け入れられず病院受診が遠のいたり、家族が精神疾患をわずらっても「そんなはずはない」「これは周りには黙っておこう」などと受入を心理的に拒否したり、隠そうとしたりといった行動につながります。
社会的スティグマに飲み込まれない障害への理解を
社会的スティグマによって誤った認識や行動を起こさないように、メンタルヘルスをはじめとする障害への正しい理解を持つことが重要です。
いまは精神科医をはじめとするメンタルヘルスの専門家がYouTubeなどで情報発信してくれたりと、情報収集がしやすくなっています。その分、本物を見極める判断は必要になってきますが、まずは「知る」「知識を得る」といったアクションを起こしてみることは大切な一歩といえるでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。社会的スティグマは差別のない多様性を受け入れる社会のためには無くすべきものですが、無意識のスティグマに自分に潜んでいないか考えるためにも、社会的スティグマという存在を認識することは重要です。
このブログを読んでくださった人から社会的スティグマの排除の輪が広がればうれしいです。
今回は社会的スティグマに焦点をあてた問題提起色の強いブログテーマでしたが、その他にも様々なテーマで情報発信しています。毎週月曜日に更新しているので、ぜひまたのぞいていただけると嬉しいです。