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生活残業が起こる原因とは?生産性を低下させるダラダラ残業へ企業が取るべき対策

「生活残業」ときいて、あなたはドキっとしませんか?

残業代をあてにして必要以上に会社に居残るといった経験がある方にとって、このブログのテーマは耳が痛いかもしれません。

生活残業が横行してしまうと無駄な人件費が発生するだけでなく、部署・会社全体の労働生産性の低下にもつながりかねません。

では、従業員はどういった背景で生活残業に至るのでしょうか。

事情についても考えを巡らせながら、企業が取るべき対策について考えていきましょう。

ぜひ、最後までご覧ください。

目次

生活残業って?

本来、残業とは定刻の就業時間内に業務が完了できず、やむを得ず時間を延長して仕事をすることを言います。
そのため、残業についても業務命令(指揮命令)下にて行われるものにはなりますが、残業申請が事後申告の職場も少なくないため、個々の従業員の判断で残業がされることがあります。
そのような環境下ですと、本当に業務がひっ迫していることによる過重労働ももちろん問題にはなりますが、一方で「生活残業」が横行する懸念もはらんでいます。
ところで、この「生活残業」がどのような意味で使われている言葉かご存知ですか?
字面のままですが、まさに「生活のためにおこなう残業」であり、つまるところ「特に時間を延長して対応するほどの仕事ではないのに、残業代をあてにした無駄な残業」なのです。

生活残業の実態と背景

生活残業の実態について、とある調査では残業をおこなった者のうち半数以上がこの生活残業の自覚があるとしています。
その性質上、生活残業の実数調査は確実に突き止められる数字ではないので、この調査結果については参考にとどめておく必要はありますが、それにしても生活残業が思ったよりも蔓延っていることが分かっていいただけるかと思います。
「働き方改革」として過重労働が発生しないよう厳密な労働時間管理が企業側に求められるようになったこともあり、現代の働き方としては、「仕事のメリハリ」「労働生産性の向上」が重要になってきています。
その結果、従来からあった生活残業も削減されていき、残業代ありきで生計を立てていた者としては給料が減ったような感覚を持つようです。

生活残業がもたらす生産性の低下

生活残業を行う者にとっては残業をする口実が必要となるため、本来であれば定刻内に処理できる仕事もペースダウンしたり積極的な業務効率化をおこなわないなど、あえて生産性を向上させない選択肢を取ることになります。
生活残業として本来必要のない人件費が発生すること自体も企業にとっては良くないことですが、この意図した生産性低下のムードが社内に蔓延することのほうが大ダメージだと私は考えています。
仮に生活残業をおこなう者とそうでない者がおなじ給料だった場合、積極的に業務効率化をしている者のほうが残業代が発生しない分、総支給額が少ないといったねじれを生むことになりますよね。そうなると真面目に働く人にとっても非常に士気が下がるのではないでしょうか。
このように一部の生活残業者によってとられる行動が社内全体の士気を低下させることに繋がるため、企業側も生活残業の見逃しは大きなリスクになると言えます。

生活残業に企業が取るべき対策

生活残業を発生させない社内風土を醸成するためには、「適切な評価制度」と「給与の工夫」が必要といえます。
「適切な評価制度」としては、上述した通り効率よく仕事を進めている社員を適切に評価する必要があります。総労働時間だけで比較してしまうと生活残業をする者のほうが長時間となってしまいますが、定時で帰っていても求められる仕事をこなせているのであればその社員は評価されるべきですよね。
生産性を高めて効率よく仕事を進めることが出来る社員のやる気を低下させず、そしてその姿勢を評価に結びつけることで、生活残業をはじめとする生産性の高くない社員との差別化は重要といえます。
そして「給与の工夫」についてですが、「固定残業代」を設ける方法もあります。固定残業代(定額残業代)は、その名の通り残業代として固定額が支給される制度であり、仮に残業10時間相当分の固定残業代が支給されている場合であって、実際の残業時間が発生していない場合であっても、この固定残業代は支給されるものです。つまり、できるだけ残業を発生させないほうが従業員にとっては「得」といえるのです。
一定の残業を見込んで設定されるような位置づけではありますが、結果として残業を抑制できる側面もあるのです。

おわりに

いかがだったでしょうか。よく「海外では残業をすると仕事ができない人として見られる」「日本は残業する人ほど仕事を頑張っていると見られがち」などと言われることがありますよね。
この表現は、実際の統計でも見て取れます。つい最近もニュースで日本の名目GDPがドイツに抜かれて4位になったと話題です。GDPはGross Domestic Productの略であり、日本語では「国内総生産」と言われます。一定期間内に国内で産出された付加価値の総額、つまり国の経済活動状況を示す指標です。端的に言えば付加価値とは儲けと言えるので、GDPでは国の経済状況を知る事ができるのです。
このGDPで重要になってくる「付加価値(儲け)」の創出は、まさに従業員に求められる使命ですが、 総務省のHPでもGDPと労働生産性との関連、そして労働生産性向上の重要性について以下のように説明がある通り、日本にとって大きな課題なのです。

一人当たりGDPを拡大し経済的な豊かさを実現するには、生産性を向上させることが必要となる。
この「生産性」を定量的に表す指標の一つとして「労働生産性」があり、一般に、就業者一人当たりあるいは就業1時間当たりの経済的な成果1として計算される。
この労働生産性について、我が国の国際的な位置づけをみてみると、2019年時点で米国を始めとするG7各国の中で最下位となっている。
例えば、米国の労働生産性と比較すると、日本は約6割の水準となる。このように、海外の主要国と比較して日本の労働生産性は決して高いとは言えない水準である。

ひとりずつの生活残業は微々たる程度といえるかもしれませんが、原因やリスク、そして根底にある隠れた問題を見つめ直すことで、日本の労働生産性向上につながると考えています。

このブログでは、社労士の視点から労働分野に関する情報や、また弊社のメインサービスとなる障害年金請求サポート、そして障害福祉サービスの側面から障害を抱える方やその支援者のお役に立てるような情報を発信しています。
今後も過去記事を含む様々な記事が多くの方の参考になると幸いです。

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