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発達障害や発達障害グレーゾーンとは?働くためにはどんな配慮が必要か

発達障害や、発達障害未満とされる発達障害グレーゾーンについて、関連書籍などを見掛けることがあるのではないでしょうか。

また、実際にご自身あるいは家族などの身近な方に発達障害をお持ちの方も少なくないかと思います。

一方で、当事者であったり身近に発達障害の方がいないといった方にとっては、発達障害という言葉がどういったかはなんとなくイメージがつくものの、発達障害による困りごとや必要とされる配慮などについてはピンとこないといった方もいらっしゃるかと思います。

このブログは、発達障害の理解を深めるためにオススメしたい書籍の紹介のほか、発達障害についての概要をまとめた内容となっています。

目次

発達障害を理解するにあたって

発達障害をブログテーマに絞ってから、改めて写真の4冊を手にとりました。
4冊ともすでに読み終えていて、弊社の応接室に設置している本棚(お越しいただいた方はどなたでもお手にとっていただけます!)に並べていただのですが、改めて読み返してみてもやはりどれも良書だなと感じます。
第2章からはこれらの参考書籍で得た情報も踏まえて内容をまとめていますが、関心のある方はぜひこれらの書籍をお読みになってみていただくことをお勧めします。
以下、左から順にご紹介しています。どれも取り扱い書店も多く、また目立つところにレイアウトされていることが多い書籍です。

『リワーク専門の診療内科の先生に「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました』/ 著 亀廣聡・夏川立也

精神科医でクリニック院長を務める亀廣先生と作家の夏川さんによる、日本実業出版社より出された書籍です。
10章で構成されているのですが、患者やその関係者ら計4名の登場人物と舞台となるクリニックの医師とのやりとりを中心にストーリーが繰り広げられます。
患者から「亀仙人」と呼ばれる飄々としたキャラクターの医師による個性的な診察スタイルに患者らは戸惑ったりもするのですが、次第にそれぞれの答えを見つけていくのです。
ときにおどけつつも、医師(亀仙人)から発せられる言葉にはやはり説得力があり、私は作中のなかの次のセリフが響きました。

「発達障害は脳の特性だから、治ることはない。こうすれば良くなるという方法もない。発達障害が原因となって、さまざまな障害が生み出されている。その1つひとつを潰していって、症状がでないように、共存していくことが大切なんだ」

発達障害の人は、クセのある車に乗っているようなものだ。
エンジンをかけるのにもコツがいるし、シフトレバーもときどきうまく入らないし、長時間運転すると故障することもある。
でも、コツさえつかめば、こんなに乗りやすくて楽しい相棒はいない。
あきらめなくていい。
クセを理解すれば、車と同じで乗りこなしていけるようになるし、愛着も湧く。
走りながら直し、直しながら走り続ける、そんなイメージだ。

『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』/ 著 岡田尊司

精神科医・作家・医学博士である岡田先生による本書は、SB新書より発行されています。本書の他にも『愛着障害』『母という病』などのベストセラーがある先生です。
本の帯には「障害未満なのにこんなに生きづらいのはなぜ?」と書かれており、作中でも『~長時間かけて発達検査も受けてみたものの、結局、障害というほどではなく「グレーゾーン」、つまり、境界域だと判定されることもある。障害というレベルには該当しなかったのだから喜ぶべきはずだが、多くの人は、もっと複雑な反応を示す。彼らとしては、自分の生きづらさの原因を「発達障害」に求めて、長い時間と労力、費用もかけて診察や検査を受けたのに、結局、どちらとも言えないという曖昧な答えだけが帰ってきて、それをどう受け止めればいいのか戸惑ってしまうのだ。』とあります。
また、こういった境界(グレーゾーン)に位置する人は、『障害レベルの人と比べて生きづらさが弱まるどころか、ときには、より深刻な困難をかかえやすい』とも書かれています。
本書では、『グレーゾーンで大切なのは「診断」よりも「特性」への理解』と説かれており、発達障害グレーゾーンにみられやすい特徴として次の8つを章立てて解説してくれています。

(第2章)同じ行動を繰り返す人たち―こだわり症・執着症
(第3章)空気が読めない人たち―社会的コミュニケーション障害
(第4章)イメージできない人たち―ASDタイプと文系脳タイプ
(第5章)共感するのが苦手な人たち―理系脳タイプとSタイプ
(第6章)ひといちばい過敏な人たち―HSPと不安型愛着スタイル
(第7章)生活が混乱しやすい人たち―ADHDと疑似ADHD
(第8章)動きがぎこちない人たち―発達性強調運動障害
(第9章)勉強が苦手な人たち―学習障害と境界知能

『健康ライブラリー 発達障害の人の「就労支援」がわかる本』/ 監修 梅永雄二

早稲田大学教育・総合科学学術院教授の梅永先生による監修の本書は、講談社より出版されています。
発達障害の人の抱える「働きづらさ」をわかりやすくイラスト付きで解説し、その働きづらさは「就労支援」で解消できるいった内容で構成されています。
就労支援とひとくちにいっても、支援の方法や働き続けるためのサポートにはさまざまな形があります。本書では以下のような見出しで早引きが設けられていて、必要とするサポートの概要を知ることができます。

・「就労移行支援」と「就労定着支援」はどう違う
・「ジョブマッチング」が就職成功のカギ
・「トライアル雇用」は実習・体験とどう違う
・「合理的配慮」を受けるための手順
・職場定着を支える「ジョブコーチ」とは
・「障害者雇用」を選択肢のひとつに
・「ライフスキル」を確認・改善しよう
また、本書では就労の実現・定着といった最終的な目標や仕事の実務上で必要なスキル(ハードスキル)だけにフォーカスするのではなく、それらの下支えになる、社会生活のための「ソフトスキル」や日常生活のための「ライフスキル」にも触れている点で参考になりました。

『発達障害の人が見ている世界』/ 著 岩瀬利郎

精神科医の岩瀬先生による本書は、アスコムより出版されています。こちらの本は、10万部のベストセラーということもあって書店でも平置きされているのをよく見かけるので、表紙だけなんとなく見た事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本書でも『リワーク専門の診療内科の先生に「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました』と同様に『発達障害とは“脳の特性です”』と説明されており、また、『発達障害の人は、決して能力が低いわけでも、人間性に問題があるわけでもありません。むしろ、その特性を上手に引き出せれば、高い能力を発揮する可能性を秘めた人たちなのです。』とも紹介されています。
そして、発達障害を持つ方とそうではない方とでは物事の受け止め方、感じ方がかなり異なると指摘しており、つまり『みている世界が違う』として、その違いを知ることでお互いに生きるのが楽になるのではと提案されています。困りごと別に解説がされており、具体的には以下のような困りごとが事例として扱われています。

・悪気はないのに、なぜか人を怒らせてしまいます
・人との会話がなぜかいつも成立しません
・簡単そうに思える意思の疎通ができません
・人と比べると感情がいつも不安定です
・落ち着きが無く失敗の連続。周りに心配ばかりかけてしまいます。
・周りの人といつもやることがズレてしまいます
・色々な「当たり前」がわからず、うまく振舞えません
上記のような困りごとがある方や、そういった困りごとを抱える方の身近な方にとっては非常に参考になると感じました。

発達障害や発達障害グレーゾーンとは?

上の章での参考書籍紹介文でも概要はつかめたかもしれませんが、発達障害とはそもそもなんだ?!といったことをこの章ではご紹介したいと思います。
まず、発達障害は病気ではなく、脳の“特性”と捉えられています。その原因については、参考書籍『発達障害の人が見ている世界』で次のように説明をされています。

原因はまだはっきりとは解明されていないのですが、発達障害の人の脳は、人の気持ちを想像する「眼窩前頭皮質」、感情表現をになう「大脳辺縁系」、脳幹からの指令をコントロールする「前頭葉(特に前頭前野)」、情動や共感・自己意識に関係する「島皮質」などの動きに偏りがあると考えられています

つまり脳の特性(個性)が強すぎる人が発達障害とされているにすぎないのであり、発達障害によるコミュニケーションエラーなどの困りごとは、決して本人の人格の問題や努力不足によるものではないのです。
注意したいのが、本人が発達障害としての自身の特徴を把握できていなかったり、周囲からの理解が乏しいと「発達障害の二次障害」を誘因してしまうことがあります。
この発達障害の二次障害については、参考書籍『リワーク専門の診療内科の先生に「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました』でわかりやすく表現されていたので、引用したいと思います。

「自覚をもちづらいことが多いから、たとえばミスが多い人は、なぜミスを犯してしまうのか自分で理解ができない。理解ができないまま気分は落ち込み、意欲は低下し、特定の状況に対する過度の不安に襲われるようになる」
「その結果、うつや不安障害、適応障害や強迫性障害、心身症、依存症といった症状を見せるようになり、出社どころか一歩も外に出ることが出来ず、引きこもってしまうようなことにもなりかねない」

いかがでしょうか。発達障害の二次障害について具体的にイメージができましたよね。
発達障害は脳の特性であることからも必要以上に自分を責めることはないのに、失敗体験が繰り返されて自信喪失に陥ってしまうんですね…。
これは本人が発達障害とうまく付き合っていく工夫をしたり、周囲が発達障害について正しく理解をして必要な配慮をすれば避けられそうですね。

発達障害の方が働くうえで必要とする配慮

発達障害といっても困りごとには個人差があります。発達障害の方が働くうえでも、その人それぞれの「本人の特性にあった環境」を整えることが重要になります。
参考書籍『リワーク専門の診療内科の先生に「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました』では、医師の協力を得て勤務先に環境調整をお願いする資料を手渡すシーンがあるのですが、その資料では次のような“トリセツ”が書かれていました。すべてではなく一部の抜粋にはなりますが、環境調整のお願いのイメージがわくかと思います。

・予定の変更はなるべく避ける
・スケジュールは早めにわかるように
・指示は紙ベースにして残す
・司令塔は1人にする
・指示は数値や見本などを用いてなるべく具体的に
・聴覚過敏があるのでノイズキャンセリングイヤホンの使用を認める
このように、自分は周囲からどういった配慮や工夫を求めるのかをトリセツとして示し、自分にとっても周囲にとってもより生産性のあがる環境を整えたいものですね。

おわりに

発達障害について、各参考書籍からの引用も交えながらの概要となりましたがいかがだったでしょうか。
このブログをご覧になっている方が、より発達障害への関心や理解が高まり、参考書籍も読んでみようといった気持ちに繋がってくださると嬉しいです。

また文中で何度も発達障害は脳の特性で病気ではないといった表現を繰り返していましたが、社労士分野の「障害年金」の視点でいえば、発達障害も「障害名」として捉えられます。
過去には発達障害の初診日はいつ?社労士による障害年金解説シリーズといったタイトルでブログを書いたこともあります。

発達障害をお抱えの方で、障害年金について相談されたい方はぜひエンカウンター社会保険労務士法人までお気軽にお問合せください。(HPからLINEでのお問合せへとお進みいただけます!)

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