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PMSの症状とは?仕事への影響や生理休暇について考えよう

PMS(premenstrual syndrome)と一般的に呼ばれている「月経前症候群」についてどの程度ご存知でしょうか。

生理による不快症状としては月経痛(生理痛)のようなわかりやすい痛みや体調不良以外にも、生理前に身体や心に不調を来すケースもあります。

生理痛にも個人差があるのと同じように、PMSの自覚の有無はもちろん症状の出方や症状の重さも人それぞれです。

そもそも多くの男性にとっては得体のしれない「生理」といった存在ですが、実は女性同士でも「生理」や生理による「PMS」に対する印象は必ずしも合致するものではないのです。

このように個人差の大きい生理やPMSといった問題に対して、どのように理解をするべきか?どのような配慮や制度があれば良いのか?について考えを巡らせるきっかけになると幸いです。

目次

PMSってなに?

PMSとは冒頭でも述べた通りpremenstrual syndromeの略称で、「月経前症候群」と訳される生理前に見られる精神的・身体的な不快症状です。
最近はもともと知られていた食欲の増加や胸の張りといった身体的な症状のほかにも、落ち込みやイライラといった精神的な症状も知られるようになりましたね。
PMSの症状は200種類以上もあるとされていて、症状の有無や、起こる症状の組み合わせは多様で個人差があることも特徴のひとつです。
また、PMSと似たように思えるものの、区別される疾患に次のようなものがあります。

・月経困難症
PMSが月経“前”を指すのに対し、月経困難症は月経“中“の不調を指しています。
月経中の腹痛や下痢、吐き気などが代表的な症状です。
・月経前不快気分障害(PMDD)
PMSにも精神面の症状は含まれますが、その中でも特に精神の不調が強く表れるケースはPMSと区別してPMDDとして扱われます。
PMDDの場合は日常生活にも影響を及ぼすほど、深刻な症状があらわれるのが特徴です。
・更年期障害
45歳ごろから見られる症状で、「ホットフラッシュ」と呼ばれるようなのぼせの症状が代表的です。


PMSは仕事にも影響することがある

PMSや生理はここまでで何度もご紹介してきた通り、症状には個人差があります。
おなじ人でも月によって症状の出方も異なることがあるため、「PMSの仕事への影響有無」に対する答えもyes/noの二択になるものではありません。
そのため、仮に身近な女性からPMSの辛さが見られないからといって「うちの妻(彼女)はそんなにつらそうじゃないよ?」といったように、暗に“甘えなのでは?”と非難するような声かけは良くありません。
周囲に求められる理解としては、「PMSには個人差があり、重い人にとっては仕事にも影響することがある」という認識を持つことなのです。

生理休暇について考えよう

就労の面でも生理の負荷は考慮されるようになり、「生理休暇」というものも耳にすることが増えたと思います。
生理休暇とは労働基準法の中で生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置として「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」といった条項を根拠したことによる休暇制度です。
生理による苦痛の程度、就労の難易やその期間は個人によって異なるものであり、客観的な一般基準は定められていません。
そうしたことから、就業規則その他により生理休暇の日数を限定することは許されていません。(ただし、有給の日数を限定する趣旨であり、生理休暇自体は有給の日数以上与えることが明らかであれば差支えないとされています。)
また、休暇の性質から原則医師の証明は必要としていないのも特徴です。
加えて、休暇の請求は、必ずしも暦日単位で行われなければならないものではなく、半日又は時間単位での請求も可能とするなど、取得のしやすさを重視した休暇制度ではあるのですが、令和5年9月28日に厚生労働省(雇用環境・均等局雇用機会均等課)による資料『働く女性と生理休暇について』では、企業規模が小さくなるほど生理休暇の導入が進んでおらず、また、生理休暇の制度があっても「男性上司に申請しにくい」「利用している人が少ないので申請しにくい」といった理由で利用の促進が実現していないのが現状です。

PMSや生理に対する理解が進むオススメコンテンツ

PMSや生理について理解を持ちたくても、PMSの重さや生理による不快には個人差があります。
また、特に男性にとってはなかなか情報が得づらいですよね。
そんなときはPMSや生理を題材に扱った作品に触れてみるのも良いかもしれません。
ここでは2作品、紹介いたします。どちらもおすすめの作品なのでぜひ見てみてくださいね。

【小説】夜明けのすべて/瀬尾まいこ 著

この小説は映画化もされているので、知っている方も多いかもしれませんね。
夜明けのすべてでは、2人の登場人物を軸にストーリーが進みます。
ひとりはPMSを抱える女性、もうひとりはパニック障害を抱える男性です。
両者とも抱えている症状を理由に前職をやめることになり、転職してきた現在の会社で同僚(先輩と後輩)として出会います。
はじめは距離感のあった二人ですが、ひょんなことがきっかけで互いが抱える弱さを知ることになり、友情や恋愛でもない特別な関係性を築いていきます。
裏表紙でも書かれていますが、「自分にできることはすくなくとも、相手のことは助けられるかもしれない」とお互いに助け合うことで、気づけば出会う前よりほんのすこしだけ生きやすくなって…といったストーリー展開です。
女性主人公が抱えるPMSは、この物語の中における大きな要素のひとつなのですが、PMSに悩まされ翻弄される主人公の姿、PMSの症状がありありと描写されています。
普段はおとなしくまじめで周囲を気遣ってばかりなのに、PMS発症の時期がきたとたん小さなことにも憤慨して、まさに“キレる”のです。
ひとしきり周囲にあたったあと、堰を切ったように感情があふれだし、そして自己嫌悪に陥ってしまう…そういったことを毎月繰り返してしまうことで、異性との交際や結婚などといった特定の人と人間関係を築くことにも消極的になってしまいます。
PMSに対する周囲の理解がない以上環境をコントロールするしかなく、現在の職場へ転職する前はPMSの時期は仕事を休めるようにとシフト勤務でのアルバイトを選択せざるを得なかったりもした主人公ですが、現在の職場への転職の際はPMSがひどいことを打ち明けても社長は「月に一度怒り出すだけで、他の日はにこやかに仕事してくれるんだもん。全然問題ないよ」といった言葉で受け入れてくれました。
普段の働きぶりが真面目であるといったアドバンテージがあることは大前提での評価ですが、こうして周囲が理解を示し寛容になれることも大切だなと感じさせられました。

【映画】生理ちゃん/小山健 原作


小山健原作の映画生理ちゃんでは、生理がキャラクター化され登場します。
仕事が忙しいときでもデートの約束があっても関係なく、毎月やってくる“生理ちゃん”。
生理ちゃんによるパンチなどの描写で生理痛が表現されますが、生理痛でどんなにおなかが痛くても腰が重くても眠気が強くても…日常は手加減してくれません。
作中で二階堂ふみ演じる主人公が言った「一番つらいのは生理を理由にできないってこと」というセリフから切実な気持ちが伝わってきます。
ストーリーの中では主人公の仕事と生理の両立に悩む姿のほかにも、「どうせずっと一人で生きていくのに自分に生理なんか来て意味ないのに…」とモヤモヤする女性、思春期の女の子、初潮を迎えたばかりの小学生と、それぞれの年代や立場での生理との関係性が描かれています。
また、男性上司の生理に対する無理解を描写したシーンがあったり、同じ女性でも生理の軽い人に「私は生理を言い訳にしない!」と言われて複雑な気持ちになったり…
生理をキャラクターとして可視化することで生理のイメージがつきやすいので、ぜひ男性に観ていただきたい作品です。
(※そしてなんと驚くことに、この「生理ちゃん」の作者は男性なのです…!)

おわりに

PMSをテーマにお届けしました。症状に個人差があるため、なかなか第三者として捉えづらい事柄ではありますが、だからこそ身近な女性から得た印象だけで価値観を醸成せず、PMSや生理にまつわる不快症状は人それぞれであること、そしてそれがもたらす日常生活や仕事への影響も個人差があることを理解したいものです。
ご紹介した作品などを通じて、性別を超えて広く認識が進めば幸いです。

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