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給与・給料・賃金…似ているようで違う?それぞれの言葉の違いについて

給与・給料・賃金…とタイトルにも掲げましたが、どのワードを目にしても「働いて得るお金のことだな」というのはイメージが湧くと思います。

でも、これらの言葉がどのように違うのか尋ねられると違いの説明は難しいのではないでしょうか。

社労士の日常でも、顧問先の担当者などから相談を受けたり、それに対して助言をするとき、 給与・給料・賃金 といった類似した言葉は混在しています。

また、就業規則と別に定める規程の名称にも「賃金規程」「給与規程」と名称にバリエーションが見受けられます。

今回のブログでは、「労働の対価を指す言葉の名称の違い」といった素朴な疑問を題材にお届けします。

ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。

目次

給与・給料・賃金 あなたはどの言葉をよく使いますか?

給与・給料・賃金…冒頭でも述べましたが、どのワードも「労働の対価(働いて得るお金)」のこととして広く認識されていますよね。
あなたはこれらの言葉の中で、どの言葉を使うことが多いですか?また、意識的に言葉の使い分けをされていますか?
一般的に使われる言葉がどれなのか、一つの指標としてグーグルでの検索ヒット数もみてみたいと思います。

・給与:約 154,000,000 件
・給料:約 129,000,000 件
・賃金:約 46,100,000 件

どうでしょう?耳なじみのある言葉の順位と一致していますか?
次の章では、言葉の使い分けについて触れていきます。

給与・給料・賃金 実は使い分けがあるってホント?!

給与・給料・賃金といった言葉の違いを知るために、グーグル日本語辞書が参照しているOxford Languagesでそれぞれの言葉の意味を調べてみました。

■給与
金銭や品物をあてがい与えること。「制服を―する」。また、その金銭・物品。特に、官公庁・会社などで勤務する者に対する給料・手当などの総称。

■給料
勤労に対して支払われる報酬。特に、その基本給の部分。

■賃金
労働したことに対し日給・月給等の形で労働者が受ける報酬。労銀

なんだかどれも似た説明で違いがはっきりとしませんね…。意味としては同じと捉えても問題はなさそうです。
ただ、社労士として触れる機会の多い労働法界隈では「賃金」が一般的な傾向にあるように感じます。
労働基準法における定義の章でも「第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」とあります。
一方で、税金周りでは「給与」というワードが使われる傾向にあるようです。
税金(所得税)で考えるとき、給与所得は「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与」と定義づけられています。厳密には非課税通勤費を含めないなどといった違いはあるものの、ほぼ賃金と同じ言葉の使われ方であることがうかがえます。
では「給料」についてですが、上述した辞書での説明で「特に、その基本給の部分」という強調がされている点で特徴的ですよね。
この考え方の根拠には、地方公務員法でや船員法で給料という言葉の定義が「一定の金額により定期に支払う報酬のうち基本となるべき固定給」といった旨の明記がされていることがあります。
このように法律ごとに用いられる文言がことなり、それぞれの法律で定義された言葉の意味を見比べたとき、微妙な差はあるものの概ね意味合いに大差なく、それがゆえに社会では混在してきたようですね。

給与・給料・賃金 の他にもまだあった!

給与・給料・賃金といった言葉には微妙な差こそあれど、概ね同じ意味合いで使われていることを先の章で説明しました。では「報酬」はどうでしょう?
給与・給料・賃金と同様に、Oxford Languagesで「報酬」の意味を調べ、Googleの検索ヒット数も確認してみました。

■報酬:労働や仕事・骨折りなどに対する謝礼の金銭・物品。お礼。返礼。
報酬:約 213,000,000 件


またしても給与・給料・賃金と類似した意味合いで言葉の説明がされていますが、検索ヒット件数はなんと一番多いといった結果でした。(!)
この「報酬」といった言葉、社労士としては社会保険で触れることが多いです。
労働関係の労災や雇用保険と異なり、社会保険は役員でも被保険者になることができます。
そういった点で、給与・給料・賃金のように雇用関係が根底にあるような言葉よりも、「役員報酬」といった言葉にも使われるように「報酬」のほうがしっくりきますね。


おわりに

給与・給料・賃金それに報酬と、似ている言葉について改めてリサーチしてみました。
とはいっても、社会一般にはその差は厳密に認識されておらず、どの言葉でも意味は伝わるので神経質になる必要はないと思います。
このブログの内容が、小ネタとして皆さんに役立てていただけることがあれば幸いです。
ブログは、週に1度のペースで様々なテーマで情報発信しています。引き続き覗いていただけると嬉しいです!

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