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高齢者雇用について考えよう。企業の助成金活用で高齢者の「働きたい」を後押し!

高齢者雇用の促進について社会的な需要や関心が高くなっていることは、皆さんもご存知のことと思います。

日本で高齢者雇用の環境整備が進む背景として、日本の少子高齢化が進み、2007年からは65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超えた「超高齢社会」に突入したといった理由が影響しているのは間違いありません。

その他にも医療技術が進んで健康寿命が延びるなど、「人生100年時代」とも表現されるように人の一生は長くなってきていますよね。そういった変化の中で、人生における “現役で元気に働く年数” の比率が高まってきています。

それでも若い世代にとって高齢者雇用といわれてもピンと来ないことは多いと思います。

でも、人はみんないつか老いていくものです。また、雇用環境の整備も時間をかけて醸成されていくものですから、いまある高齢者雇用を取り巻く諸問題の延長線上に自分の未来もあることを忘れずに、高齢者雇用について関心を寄せていただけると良いなと思っています。

このブログを通じて、高齢者雇用について考えるきっかけになれば幸いです。ぜひ、最後までお読みください!

目次

高齢者雇用の“高齢者”って何歳から?

高齢者雇用とはいったい何歳以上の雇用を指すのか。まずはここから考えていきましょう。
雇用保険では「高年齢被保険者」といった被保険者区分がありますが、これは65歳以上の労働者を指しています。つまり、労働分野では65歳以上を高齢者と捉えていることがわかります。
現在、高年齢者雇用安定法によって「従業員の定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする必要がある」と定められています。こういった「60歳定年」のイメージもあってか、映画館や飲食店でのシニア料金は60歳以上を対象にすることが多いように思います。
しかし、最近の60歳はとってもお元気で、高年齢・シニアの言葉が持つ“おじいちゃんおばあちゃん”のイメージとギャップを感じることもあるほど。
労働分野の取り組みとしても、従来の定年年齢である60歳を超えても働いていただけるよう、高年齢者雇用確保措置にて次のことが定められています。

定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、①65歳までの定年の引上げ②65歳までの継続雇用制度の導入③定年の廃止のいずれかの措置を実施する必要がある
要するに、まずはできるだけ65歳まで働ける環境を整えていきましょうといった取り組み(義務)です。
さらには70歳までの就業機会確保も推進(努力義務)されており、今後一層、高齢者の社会進出が進んでいくことでしょう。

知っておきたい!再雇用・継続雇用

すこし上でも触れましたが、高年齢者雇用確保措置では定年年齢を引き上げよう(なんなら撤廃しよう!)といった取り組みのほかにも、引き続き雇用しましょう!再雇用しましょう!といった取り組みも企業の選択肢に含まれます。
ここで、定年年齢の引き上げや撤廃は言葉から取り組みをイメージやすいですが、継続雇用・再雇用に関しては何がどのように違うのだろうか?と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
これらの言葉の意味を整理すると、次の通りとなります。

■継続雇用(勤務延長制度)
定年で退職とせず、引き続き雇用する制度
■再雇用
定年でいったん退職とし、新たに雇用契約を結ぶ制度定年で退職とせず、引き続き雇用する制度
両者の違いは、継続雇用は定年年齢に到した者を退職させることなく、その名の通り引き続き雇用する制度であるのに対して、 再雇用制度は定年年齢に達した者を一度退職させ、改めて雇用する制度を言います。
独立行政法人労働政策研究・研修機構による調査(高年齢者の雇用に関する調査)では、60~65歳の世代の雇用形態の約6割が「嘱託・契約社員」という結果が確認されており、このことから「再雇用」が主流であることが推測できます。
高年齢者雇用確保措置として再雇用が導入されがちな背景としては、定年で一度契約をリセットして条件を見直すことができる点が企業にとって好まれているといえるでしょう。

高齢者雇用に積極的な企業を応援する助成金をご存知ですか?

高齢者雇用が推進される背景として、冒頭でも述べたように「超高齢社会」であることや、健康寿命が延びたことからも、生産年齢人口(※)の一員として元気に活躍してもらうことへの期待が高まっていることが挙げられます。

生産年齢人口とは?
生産活動を中心となって支える15〜64歳の人口を指す。経済活動においての働き手と社会保障の支え手としての役割を担う。

高齢者雇用の推進のように社会的に需要がある事案には国をあげた取り組みがなされますが、そういったケースでは助成金による支援がされることが少なくありません。
高齢者雇用に対しても助成金制度による後押しが図られており、その名も「65歳超雇用推進助成金」と呼ばれる助成金が用意されています。
65歳超雇用推進助成金では、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成され、実施した取り組み別にコースが用意されています。

高齢者雇用の好事例をご紹介

高齢者雇用を推進すべしといった社会の動きの中で、切に就労の場を求める高齢者もいれば、いつまで働かせるんだと嘆く高齢者もいるでしょう。そんな中、いかに前向きな気持ちでモチベーションを保って現役でいられるかは幸福度を左右するといえるかもしれません。
そこで皆さんにオススメしたいのが、写真の図書『92歳総務課長の教え』です。こちらは、タイトルにある92歳総務課長である玉置泰子さんご本人による著書で、まさに生涯現役として働き続けるための極意が込められた一冊としてとても学びがありました。

玉置泰子さんは25歳で入社した会社に勤続66年、現在も総務課長として活躍されています。2020年には世界最高齢の総務部員としてギネス世界記録にも認定され、世界からも注目される存在です。
本書では仕事への姿勢が惜しむことなくつづられ、書籍のキャッチフレーズの通り「世界一の先輩が教える一生使える仕事力」を読者である後輩に伝えようとする情熱にあふれています。
具体的な生涯現役のためのハウツーはぜひ実際に読んで知ってほしいですが、読了後には働き続けることへのポジティブな気持ちが自然と芽生えること間違いなしです。

玉置泰子さんは常にご自身をアップデートする姿勢を忘れない方であることが本書から知ることができますが、ある章でレディガガの名前が出たことには驚きました!
レディガガの名が登場したのは“第1章 仕事ほど人を成長させるものはない” で、「やりたい仕事がみつからない」と悩む若者に向けてある本を紹介してくれる内容の中でのことでした。
玉置さんオススメのその本はマリリンモンローも心の支えにしていて、レディガガは一節をタトゥーに入れているのだと述べられていました。
単に自分のオススメを伝えるだけでなく、あの人も救われた作品だよと添えてくれることで、若者も興味を持つきっかけになるように思います。これは玉置さんコミュニケーションスキルによるものか、自然とされたことなのかはわかりませんが、いずれにしてもこのように玉置さんの教えには随所に説得力や助言の深みが感じられました。
日々あらゆることにアンテナを張って広い視点でトレンドをつかみ、新しいことも柔軟に受け入れる姿勢は一朝一夕で確立するものではないはずなのですが、玉置さんからの教えは決して押しつけがましくなく、読み手にとっても心地の良いものでした。

世代間ギャップ等で折り合わない年長者を「老害」と嫌悪する風潮もある中、ときに高齢者雇用はお荷物制度のように捉えられることもあります。
けれども、玉置さんのように常にアップデートしている高齢者は、お荷物になるどころか、年の功も併せ持った重要な人材といえるのではないでしょうか。本書の中でも、若い世代が玉置さんに良い影響を受けている様子を垣間見ることができました。

今回高齢者雇用をテーマにこちらの書籍を紹介しましたが、シンプルに生き方として学べることが多い内容ですので、ぜひ一度読んでみてください。

おわりに

高齢者雇用について、その定義や関連法、そして活用できる助成金も含めご紹介しました。
環境整備を進めていくのと併せて、高齢者自身に働き甲斐を感じてもらえるような意識変化も大切です。そういった視点から好事例としておすすめの1冊もご紹介させていただきました。
多くの人にとって、1日のうちの大半を働くことに費やしており、その集積として人生の大部分を労働で過ごすといっても過言ではありません。
生活のための労働であるのは事実ですが、それだけではなく働き甲斐を感じられることができれば、人生をより豊かにできることでしょう。

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