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職業病とは?労災的な解釈と一般的な形容の違いについて

職業病という表現は、日常的には「その職業特有の思考のクセ」などを指して用いられることが多いかと思いますが、労災的な観点から正式に認定された“本来の意味での職業病”があります。

このブログでは、一般的に知られた形容として用いる「職業病」と労災的な「職業病」を比較しながら両者を理解できる内容にまとめています。

ぜひ、最後までお読みいただけると嬉しいです。

目次

職業病にはどんなものがあるの?

「職業病」という言葉、みなさんも一度は見聞きしたことがありますよね。
ここでは、職業病として知られるものにどういったものがあるのかを確認していきましょう。
冒頭でも述べたように、普段の会話で形容されるような「職業病」と、労災的にも認められている「職業病」とがあります。それぞれに分けてご紹介します。

労災的な視点での「職業病」

労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による傷病などに対して必要な保険給付を行うものですが、この制度の補償の対象となる疾病は「職業病リスト」で定められています。
この職業病リストにあるものの中には聞きなじみのないものが多いとは思いますが、「石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚」や「石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫」は報道などを通じてよく知られているのではないでしょうか。
厚生労働省HPでは、どのような作業で石綿にさらされるのかが事例写真つきで示されています。

石綿(アスベスト)のほか、業務上引き起こされる「腰痛」も関心が高い問題かと思います。
上述の職業病リストでも「重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛」という記述がありますが、職場における腰痛は「4日以上の休業を要する職業性疾病」のうち、約6割を占める労働災害とされています。
腰痛の労災認定についてはリーフレットが用意されており、そこで細かな認定要件が示されています。
そこでは、腰痛を「災害性の原因によるもの」と「災害性の原因によらない腰痛」とに分類したうえで認定基準に該当するか判断するとされています。
このうち「災害性の原因によらない腰痛」は日々の業務による腰部への負荷が徐々に作用して発症した腰痛をいいますが、特に介護施設での腰痛発生の多さが指摘されています。
防止のため⾞いすとベッド・特殊浴槽⽤ストレッチャーとの移乗に「天井つり下げ式リフト」や「⾛⾏リフト」を使⽤して介護者の負担軽減を図るなどすると効果的とされています。

一般的に形容として用いられる「職業病」

職業病といっても、上段で述べたような厳密な意味ではなく「その仕事をする人のあるある」といったニュアンスで用いられることもあります。
例えば小学校教師や保育士といった子供を相手にする職業の場合にうっかり子ども向けの口調で話してしまったり、レジ係をしている人は商品のバーコードを読み取りやすいように差し出したり、レジ袋の有無やポイントカードの有無について聞かれる前に聞かれる前に食い気味に伝えてしまったり。あるいは、アパレル販売業の人は服プライベートの買い物中にも乱れた服があればたたんでしまったり、料理人やパティシエの人は食べたものの味付けを分析してしまったり。
普段の仕事のクセが無意識に日常でも姿を見せてしまう状態を「職業病」と形容した経験を、みなさんも1度はあるのではないでしょうか。
職業病絡みで最近興味深かったのが、俳優の松岡茉優さんと伊藤沙莉さんによるポッドキャスト「お互いさまっす」の第27回です。
俳優さんの職業病について松岡さんが語られていて、職業柄 “カメラをすぐに見つけられてしまう”と話されていました。そのため、撮影の裏側としてスタッフさんが隠し撮りしていてもそれにすぐ気づいてしまったりするそうです。おもしろいですね。

職業病はすぐには姿を現さない

職業病とは、労災的な意味にせよ、「あるある」を意味して用いられるにせよ、身体や所作に影響を与えるほどに仕事に従事してこそ表れてくるものと言えるのではないでしょうか。
とくに労災的な意味での職業病は業務に従事した時間の蓄積によって健康被害が見られるため、必ずしも在職中に発症するとも限りません。
上段で触れた石綿(アスベスト)による中皮腫や肺がんの発症はタイムラグがあることも珍しくなく、厚生労働省HPにおいても、労災保険給付を受ける権利は退職しても変更されないことや、退職された後であっても労災認定を受けることができることが周知されています。

おわりに

職業病をテーマにまとめましたが、いかがでしたか?
一般的な形容としての職業病には少し自分の職業に対する誇りの意識が見て取れるのに対し、労災的な観点からの職業病は非常に危険であることが伝わったと思います。
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様々なテーマでお届けしているので、ぜひ過去の記事もご覧いただけると嬉しいです。

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