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労務トラブルを防ぐ「退職勧奨」と「解雇」の違いと正しい運用

企業活動を進める中で、社員との関係において「退職を勧めたい」と思う場面が生じることがあります。
しかし、「退職勧奨」と「解雇」は法的な意味も手続きも大きく異なり、誤った対応をとると労働トラブルに発展するリスクが高まります。
この記事では、両者の違いと、それぞれの正しい運用方法について解説します。

目次

「退職勧奨」とは?自主的な退職を促す行為

退職勧奨とは、会社が労働者に対して退職を促す行為です。
あくまで本人の自由な意思に基づく「合意による退職」を目的とするもので、強制力を持たないのが特徴です。

たとえば、業務成績が芳しくない社員や、協調性に問題のある社員に対して、「別の道を検討してみてはどうか」と声をかけるなどが退職勧奨にあたります。

退職勧奨が有効とされるには

退職勧奨を行う場合、以下のような点に留意しなければ、違法な「実質的な解雇」とみなされるおそれがあります。

・社員に退職を強要しない(断る自由があること)
・威圧的・継続的な退職勧奨を行わない
・合理的な理由があること(業績不振や職場内トラブル等)
・文書や音声などでやり取りの記録を残しておく

違法な退職勧奨の例

次のような行為は、裁判上で「退職強要」と判断され、不当解雇として損害賠償の対象となる可能性があります。

・閉鎖的な空間で退職を繰り返し迫る
・長時間にわたって説得を続ける
・「退職しなければ懲戒解雇にする」と脅す
・退職を拒否した社員を人事的に冷遇する

「解雇」とは?会社からの一方的な契約終了

一方、解雇とは会社からの一方的な労働契約の終了を意味します。
労働者の意思にかかわらず雇用関係を終了させるため、法的ハードルが非常に高いのが特徴です。

解雇には大きく分けて、以下の3種類があります。

・普通解雇:能力不足・協調性欠如などの理由に基づく解雇
・懲戒解雇:社内規律違反や背信行為に基づく懲罰的な解雇
・整理解雇(リストラ):経営悪化など会社都合による人員削減のための解雇

解雇が認められるための条件

労働契約法第16条では、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限り、解雇は有効」とされています。

解雇が有効と認められるには、以下の点がポイントです。
・客観的な証拠や経緯がある(勤務態度、能力不足、業績悪化など)
・事前の注意・指導を行っている
・就業規則に明記されている解雇理由に該当している
・段階的な処分を経て最終的な手段として解雇に至っている

トラブル回避のための実務ポイント

1. 記録を残す(会話・面談・指導)
退職勧奨や解雇に関する対応を行う際は、「記録に残すこと」が何より重要です。
発言内容や経緯、本人の反応を正確に把握できるよう、議事録・録音・面談記録などを活用しましょう。

2. 複数人での対応を徹底
1対1の面談では、パワハラや圧力と受け取られるリスクがあります。
人事担当や上司など複数名で対応することで、公平性と客観性を担保できます。

3. 社労士・弁護士への相談
退職勧奨や解雇は、企業にとっても労働者にとっても非常にデリケートな問題です。
手続きの前に社労士や弁護士に相談することで、法的リスクを回避することができます。

よくある相談:退職勧奨の末、後から「解雇された」と言われた…

退職勧奨に応じて退職届を提出しても、後日「強制された」と主張されるケースは少なくありません。
このようなトラブルを防ぐためには、以下の対応が効果的です。

・退職理由が「本人の自由意思」であることを文書に明記
・面談時に録音を残しておく
・書面のやり取りを残す(退職合意書など)

まとめ:区別を理解して、正しい手順を踏むことが重要

「退職勧奨」と「解雇」は似て非なるものです。
いずれも社員の雇用に関わる重要な行為であり、対応を誤ると企業側が損害賠償や社会的信用の失墜を被るリスクがあります。

社内ルールや法令を正しく理解し、必要に応じて専門家に相談しながら慎重に対応を進めましょう。
それが、労務トラブルを未然に防ぐ最良の方法です。

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