ブログ

Blog

障害年金の受給で生活保護が減額・停止されるのはなぜ?

障害年金を申請する際、「生活保護はどうなるのか?」という疑問を持たれる方は少なくありません。

実際、障害年金を受給したことで生活保護費が減額されたり、最悪の場合には保護が停止されるケースもあります。

このブログでも過去に類似したテーマでお届けしたことがありますが、閲覧数がとても多く、皆さんの関心が高いことを実感しています。


この記事では、障害年金と生活保護の関係、減額・停止される仕組み、注意点や対策についてわかりやすく解説します。

目次

障害年金と生活保護の基本的な関係

障害年金は、公的年金制度(国民年金・厚生年金)に基づき、障害のある方に対して支給される「社会保険給付」です。
一方、生活保護は収入や資産が一定以下の人に対して、最低限の生活を保障する「公的扶助」です。

この両者は支給目的が異なる制度ですが、生活保護には「他の収入がある場合は、それを優先的に使う」という「補足性の原則」があり、障害年金もその対象に含まれます。

つまり、障害年金を受け取ると、「生活保護に依存しなくても生活できる」と判断される可能性があるため、保護費が減額または停止されることになるのです。

減額・停止される仕組みとその理由

■ 障害年金は「収入」とみなされる
生活保護の計算では、障害年金は収入認定の対象となります。
つまり、障害年金が支給されると、その分は生活保護の「生活扶助費」などから差し引かれます。

たとえば、ある方が月10万円の生活保護を受けていたとして、障害年金が月6万円支給されるようになると、生活保護費はその分(原則として)6万円減額され、実質的な生活レベルは変わらないように調整されます。

■ 障害年金の額が基準を超えると生活保護が停止
障害年金の金額が、生活保護基準を上回る場合には、生活保護は一時的に停止されることになります。
たとえば、年金が月8万円で、生活保護の基準が月7万円だった場合、年金のみで最低生活が確保できると判断され、保護の必要性がなくなります。

減額・停止される前に知っておきたい注意点

■ いきなり打ち切られるわけではない
障害年金を申請しただけでは生活保護が減額されることはありません。
あくまでも、実際に支給された後に調整が行われます。
また、減額や停止の際には、福祉事務所からの説明や事前通知があります。

■ 福祉事務所への報告義務がある
生活保護を受けている方が障害年金を申請した場合、その事実を必ず福祉事務所へ報告する必要があります。
これは、生活保護制度の適正な運用のためのルールです。

障害年金の申請をしたことを黙っていたり、受給開始を報告しなかった場合、不正受給と見なされ、保護費の返還や罰則の対象になる可能性もあります。

■ 医療扶助・住宅扶助などは継続されることも
生活保護には「生活扶助」だけでなく、「医療扶助」「住宅扶助」など複数の扶助があります。
障害年金で生活扶助をまかなえる場合でも、家賃が高い地域に住んでいる場合や医療費が高額な方などは、生活保護の一部が継続される可能性もあります。

障害年金と生活保護の併用を考える際のポイント

障害年金と生活保護の関係は複雑に見えますが、正しく理解することで、安心して制度を活用できます。

■ 障害年金が「自立の第一歩」になることも
障害年金の受給によって生活保護が減額されると聞くと、不安になる方も多いですが、これは「自立の第一歩」と捉えることもできます。
生活保護に完全に依存しない生活ができれば、将来的な選択肢も広がります。

■ 専門家に相談しながら進めるのが安心
障害年金を申請することでどのように生活保護へ影響が出るかは、住んでいる自治体の運用方針や個別事情によって異なります。
そのため、申請前に社労士やケースワーカーに相談し、自分にとって最適な方法を検討することが重要です。

まとめ

障害年金の受給によって生活保護が減額・停止されるのは、「補足性の原則」によるもので、制度上は当然の調整です。
「生活保護がなくなるかもしれないから障害年金を申請しない」と判断するのではなく、専門家と相談しながら最善の制度活用を考えることが、安定した生活につながります。

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ