ストレスチェックが50人未満企業も義務化へ!法改正のポイントと中小企業が注意すべき実務対応

近年、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性が高まる中で、「ストレスチェック制度」の見直しが進められています。
これまでストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場にのみ義務付けられてきましたが、今後は50人未満の企業にも義務化が広がる法改正がなされました。(5月14日に公布、公布から3年以内に施行)
「自社はまだ対象外だから」と後回しにしてきた企業にとっても、無関係ではいられない局面に入りつつあります。
本記事では、ストレスチェック制度の基本と法改正の背景、そして50人未満企業が今後注意すべき実務ポイントについて、分かりやすく解説します。
目次
- ○ ストレスチェック制度とは?【現行制度と法改正の流れ】
- ○ 50人未満企業が特に注意すべきポイント
- ○ 実務対応は「外部活用」を前提に考える
- ・ストレスチェックは「実施して終わり」にしない ― 当グループによる一貫支援
ストレスチェック制度とは?【現行制度と法改正の流れ】

ストレスチェック制度は、労働者の心理的な負担の状況を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的として、労働安全衛生法に基づき導入された制度です。
2015年の制度開始以降、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回の実施が義務付けられています。
一方で、50人未満の事業場については、これまで「努力義務」とされてきました。
その背景には、小規模事業場では産業医の選任義務がなく、制度対応の負担が相対的に大きいことへの配慮があったといえます。
しかし近年、企業規模を問わずメンタルヘルス不調による休職や離職が増加していること、また中小企業ほど早期対応が難しく、問題が深刻化しやすいことが課題として指摘されてきました。
また、中小企業では、
・相談窓口が整備されていない
・管理職が対応を一人で抱え込む
・不調が表面化した時にはすでに深刻化している
といった課題がありました。
こうした状況を踏まえ、国の検討会などでは「一次予防としてのストレスチェックを、企業規模にかかわらず定着させるべきではないか」という議論が進められてきました。
その結果、ストレスチェック制度については、50人未満企業への義務化を視野に入れた制度見直しが進行しています。
現時点では、施行時期や具体的な運用ルールについて最終確定には至っていない部分もありますが、「対象拡大の方向性自体は固まりつつある」と受け止めておく必要があります。
今後は、制度の対象となるかどうかにかかわらず、早い段階からストレスチェックの実施体制や外部活用の検討を進めておくことが、企業にとって現実的な備えとなるでしょう。
50人未満企業が特に注意すべきポイント

50人未満企業にとって、ストレスチェック義務化で重要なのは「実施すること」そのものよりも、実施後の取り扱いです。
ストレスチェックでは、
・医師等による実施体制の確保
・結果の本人通知
・本人同意なき事業者への結果提供の禁止
・高ストレス者への面接指導の機会提供
といったルールが定められています。
とくに少人数の職場では、「誰の結果か推測できてしまう」「情報管理が曖昧になりやすい」といったリスクが高く、個人情報・プライバシー配慮がより重要になります。
実務対応は「外部活用」を前提に考える

50人未満企業では、産業医選任義務がないケースも多く、「社内だけで完結させよう」とすると制度運用が形骸化しがちです。
今後は、
・外部の実施機関を活用する
・社労士など第三者専門家と連携する
・就業規則/相談体制とあわせて整備する
といった形で、無理のない制度運用を設計することが現実的な対応になります。
義務化は「負担増」ではなく、職場の不調を早期に把握する仕組みを持つ機会と捉えることが重要です。
「いつから始まるのか」「自社は何を準備すべきか」
その整理から始めることが、これからの中小企業に求められる実務対応といえるでしょう。
ストレスチェックは「実施して終わり」にしない ― 当グループによる一貫支援
ストレスチェック制度は、単にチェックを実施すれば足りるものではなく、その結果を踏まえた職場環境の見直しや、必要に応じたフォローまで含めて初めて意味を持つ制度です。
とくに50人未満企業では、制度対応を担当する人員に限りがあり、「どう進めればよいのか分からない」「実施後の対応まで手が回らない」といった声も少なくありません。
当グループでは、社労士としての知識に加え、精神保健福祉士の知見を活かし、ストレスチェックの実施支援だけでなく、その後の労働環境整備や制度運用についても多角的な助言を行っています。
「そろそろ義務化の対象になりそう」「実施したいが相談先が分からない」といった段階からのご相談も可能です。
外部専門家を活用することで、制度対応の負担を軽減しつつ、実効性のあるメンタルヘルス対策につなげることができます。
