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障害年金の「事後重症請求」とは?初診日が昔でも諦めないために

障害年金の申請を検討する際、まず大きな壁となるのが「障害認定日」という考え方です。

これは、初診日から原則1年6か月後など、一定の時点における障害の程度を基準に年金の受給権が判断される制度上のルールです。

本来、この認定日における診断書などの証明書類が必要になりますが、障害認定日から時間が経っている場合、「当時の記録が残っていない」「診断書の取得が困難」「障害認定日時点では障害状態が軽かった」といった理由で、申請を断念してしまう方が少なくありません。

しかし、たとえ障害認定日時点での証明が難しくても、諦める必要はありません。

こうしたケースでは「事後重症請求」という制度が活用できる可能性があります。

これは、障害認定日より後の時点において、障害の程度が進行し、現時点で障害等級に該当していれば、将来に向けて年金の受給権が認められる申請方法です。

本記事では、この事後重症請求の具体的な制度概要と、申請時に気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。

目次

初診日が昔でも申請できる?事後重症請求とは

障害年金の申請において「初診日」は、年金制度のどの種類から給付を受けられるか、さらには受給の可否そのものを左右する重要な要素です。
初診日に加入していた年金制度によって、受けられる障害年金(厚生年金・国民年金など)が決まりますが、障害認定日(原則、初診日から1年6か月経過日)当時は症状が軽く、障害等級に該当しない状態だった方もいます。
そのような方が、後年になって症状が進行し、障害状態に至った場合に用いるのが「事後重症請求」です。

これは、初診日(および障害認定日)から一定の時間が経過していても、「現在の状態が障害等級に該当する」ことを証明できれば申請できる制度です。
つまり、「障害認定日」に障害状態であることを証明する必要はなく、現時点の障害状況を基に請求する仕組みです。
特に精神障害や慢性疾患のように、時間とともに症状が悪化していくケースでは、この制度が非常に有効です。

事後重症請求を成功させるためのポイント

事後重症請求の最大のハードルは、「初診日を証明すること」と「現在の状態が障害等級に該当すること」を客観的資料で示すことです。
初診日については、カルテや診療記録が残っていない場合も多いため、受診状況等証明書の取得が困難になることがあります。
その際は、他の医療機関の記録や第三者の証言など、間接的な資料を積み重ねて主張していくことが求められます。

また、現在の障害状態については、診断書の内容が非常に重要です。
実際の生活状況や就労の可否などが正確に反映されていないと、等級に該当しないと判断されるおそれがあります。
日常生活の困難さを的確に伝えるためには、医師に対して現在の状況を具体的に伝え、診断書に反映してもらうことが欠かせません。

さらに、障害年金の制度は複雑で、提出書類の整合性や表現の工夫も重要な要素です。
事後重症請求は「チャンスがあるから誰でも通る」制度ではなく、制度の正確な理解と丁寧な準備が結果を左右します。
ご自身だけで対応が難しい場合には、専門家である社労士への相談も検討しましょう。

おわりに|諦めないことが未来を切り開く

障害年金の申請には複雑なルールが多く、「初診日が昔すぎてもう無理」「診断書をどう書いてもらえばいいのかわからない」と不安になるのも当然です。
しかし、事後重症請求という仕組みを正しく理解し、必要な手続きを踏めば、たとえ障害認定日に障害等級に該当していなくても、年金を受給できる可能性があります。大切なのは、情報を知り、自分の状況にあてはまる制度を見つけること、そして行動することです。

当事務所では、事後重症請求をはじめ、初めての障害年金申請で不安を感じている方々へのサポートを行っています。医師への説明の仕方や、診断書作成のサポートも可能ですので、お気軽にご相談ください。

本年も多くの方からご相談をいただき、ありがとうございました。
来年も引き続き、皆さまのお力になれるよう、実務と情報発信に尽力してまいります。どうぞ良いお年をお迎えください。

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