従業員の氏名が変わったら手続きは必要?~雇用保険と社会保険の違いをわかりやすく解説~

結婚や離婚などにより、従業員の氏名が変わることがあります。その際、「ハローワークや年金事務所へ何か手続きが必要なのだろうか」と悩む担当者も少なくありません。
実は、雇用保険と社会保険では氏名変更時の取扱いが異なります。
雇用保険は原則として氏名変更のみで直ちに手続きが必要となるわけではなく、社会保険については住民基本台帳ネットワークとの連携により事業主による氏名変更届が不要となっています。
本記事では、それぞれの制度の違いと実務上の注意点について解説します。
目次
氏名変更が発生したら何を確認すべきか

従業員の氏名変更が発生する場面として最も多いのは、結婚や離婚によるものです。
会社としては、「健康保険や厚生年金の手続きは必要か「雇用保険は変更届を提出しなければならないのか」といった疑問が生じることでしょう。私も顧問先企業様から、よくそんなご相談を受けることがあります。
実際には、社会保険と雇用保険では取扱いが異なるため、それぞれを分けて考える必要があります。
まずは会社内部の情報として、労働者名簿/賃金台帳/給与システム/名刺や社員証/社内メールアドレスなどの情報を更新することが基本となります。
その他、氏名変更の背景によっては、住所変更/扶養家族の増減/緊急連絡先の変更などが同時に発生することも少なくありません。
そのため、「氏名変更だけ」に注目するのではなく、関連する情報も含めて確認することが大切です。
そのうえで、どのような公的手続きが必要なのか、次の章で確認していきましょう。
社会保険は原則として氏名変更届が不要

健康保険や厚生年金保険については、以前は事業主による氏名変更届の提出が必要でした。
しかし現在は、住民基本台帳ネットワークシステムとの連携により、日本年金機構が氏名変更情報を取得できる仕組みが整備されています。そのため、従業員本人が市区町村で氏名変更手続きを行っていれば、多くの場合、会社から年金事務所へ氏名変更届を提出する必要はありません。
*補足*
・住民票上の変更手続きが完了していない場合や、何らかの理由で情報連携ができないケースもあります。
・健康保険証に代わる資格確認書等の発行が必要な場合には別途手続きが生じることもありますので、個別の状況確認は必要です。
雇用保険は「すぐに変更届」が必要ではない

一方で、雇用保険については社会保険とは考え方が異なり、氏名変更があったからといって直ちにハローワークへ氏名変更届を提出しなければならないわけではありません。
実務上は、離職票の作成/育児休業給付の申請/高年齢雇用継続給付の申請などの、ハローワークに対して何らかの届出を行うタイミングで氏名変更を併せて行うことが一般的です。
そのため、氏名変更の事実を会社で把握し、必要書類を保管しておくことは重要ですが、氏名変更のみを理由に急いで手続きを行う必要はないと言えるでしょう。
おわりに

まとめになりますが、従業員の氏名変更が発生した場合、社会保険と雇用保険では取扱いが異なります。
社会保険については住民基本台帳ネットワークとの連携により、原則として事業主による氏名変更届は不要である一方、雇用保険については氏名変更のみで直ちに届出を行う必要はなく、離職手続きや各種給付申請などの機会に併せて変更を行うことが一般的です。
氏名変更が発生すると、つい公的手続きに目が向きがちですが、実務上は社内情報の更新や関連する変更事項の確認も忘れないよう注意が必要です。
確認すべきポイントや制度の違いを正しく理解し、必要な対応を漏れなく進めていきましょう。
