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雇用保険料率はなぜ高くなったの?仕組みについて社労士がわかりやすく説明

雇用保険料率が改定(引き上げ)されたことで、令和5年度の概算保険料が高くなったと感じているかたも多いのでは。

労働保険の年度更新も済んで落ち着かれたタイミングで、ふと「なんで雇用保険料高くなったの?」と疑問が浮かんだ方に向けて、今回のブログでは雇用保険料率について取り上げたいと思います。

雇用保険というと、会社を離職して失業状態になった時に受けられる基本手当(ちまたでは失業保険とも呼ばれる)のイメージが強いですが、実はその他にも雇用保険として行われているものがあります。

それらについてもご紹介しつつ、雇用保険の意義について知ってもらえる機会となるブログになれば幸いです。

ぜひ、最後までお読みいただけると嬉しいです。

目次

雇用保険料率が高くなったってホント?

雇用保険料率は固定ではなく、状況によって変動します。ここ数年の雇用保険料率推移は以下の通りです。

<令和3年度>
・一般の事業:9/1,000
・農林水産/清酒製造の事業:11/1,000
・建設の事業:12/1,000

<令和4年度>※4月1日~9月30日
・一般の事業:9.5/1,000
・農林水産/清酒製造の事業:11.5/1,000
・建設の事業:12.5/1,000

<令和4年度>※10月1日~3月31日
・一般の事業:13.5/1,000
・農林水産/清酒製造の事業:15.5/1,000
・建設の事業:16.5/1,000

<令和5年度>
・一般の事業:15.5/1,000
・農林水産/清酒製造の事業:17.5/1,000
・建設の事業:18.5/1,000

雇用保険料率はどのようにして決まるのか

上で述べたように雇用保険料率は固定制ではあなく変動しうるものです。
社会情勢によって見直しがされますが、例えばリーマンショックは世界に影響を与え、日本でも失業者が増えていました。そのため、基本手当(失業保険)等の雇用保険の保障に対する需要が増したため、雇用保険料率に引き上げが起こりました。
最近でいえば新型コロナウイルスによる休業や失業が急激に増え、雇用保険の財源をひっ迫する事態になりました。
特に休業による雇用調整助成金の申請件数が多かったのも大きな要因です。

雇用保険料の使い道って?

上の章でも少し触れましたが、雇用調整助成金の申請件数が雇用保険料率に営業を与えたように、雇用保険料は助成金にも充てられています。
また、その他にも、育児休業給付金に対する費用も雇用保険料から支出されています。

雇用保険料率は事業主負担と労働者負担に分けられる

雇用保険料率は冒頭で紹介した通り、例えば令和5年度の一般の事業だと「15.5/1,000」ですが、これは「事業主負担:9.5/1,000」と「労働者負担:6/1,000」の合計です。
さらに事業主負担分には内訳があり、9.5/1,000のうち6/1,000は失業等給付と育児休業給付に充てられる分の保険料率です。
*労働者負担と同じ割合からもわかるとおり、労働者負担分はこの「失業等給付と育児休業給付」のみを事業主と折半負担しているという考え方になります。
そして、3.5/1,000が雇用保険二事業にあてられ、これはいわゆる助成金などが使途になります。
このように、雇用保険二事業は事業主負担のみであることがわかりますね。

おわりに

いかがだったでしょうか。雇用保険料率の改定が起きてからしばらくたっていますが、なぜだろう?と思っていた方にとって「そういうことだったのか!」とスッキリしてもらえていると嬉しいです。
雇用保険にまつわるテーマの過去ブログもあるので、そちらもぜひご覧ください!
そのほか、労働保険料に関する過去ブログも閲覧数の多い人気記事です!
週に1度のペースに様々なテーマでお送りしているので、定期的に覗いていただけると嬉しいです。

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