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指定難病で障害年金の受給はできるのか。その疑問に社労士が答えます

障害年金の受給を望んでいる方には、指定難病を患っている方も多くおられるかと思います。

とはいっても、指定難病とされている病気は様々。

良く知られた病気もあれば、なかなか認知度が低い病気もあります。

そんな中、新たな病気も指定難病として追加され、300を超える数(2022年1月時点では338疾病)となっています。

これは、「難病の患者に対する医療等に関する法律」が施行された2015年では110疾病だったことと比べると、かなり増加が進んでいることが分かるかと思います。

そもそも、指定難病になると何がどう変わるのか?そういった前提知識も踏まえたうえ、今回のブログでは、指定難病で障害年金が受給できるのか?といったテーマについて解説していきます。

ぜひ、最後までお読みください。

目次

指定難病に関する法律(難病法)が生まれた背景

冒頭でも述べたとおり、我が国には「難病の患者に対する医療等に関する法律」というものがあります。
2015年に施行されたこの法律ですが、その背景には日本において「スモン」と呼ばれる病気が急増したことが影響しているといわれています。
この病気は、視神経を侵すとともに脊髄炎を引き起こす病気でしたが、その症状が起こる原因がわからず、また日本でのみ発見される病気のため奇病として扱われていました。
ここではスモンに関する詳細は割愛しますが、とにかくこのような原因不明の病気の存在が、「難病」を考えるきっかけをもたらしたのです。

難病の定義として、原因不明であることや治療方法が確定されていないことなどいくつかの定義があります。
このような治療のゴールが見えづらい病気と付き合っていくうえでの経済的負担が大きいことはかねてより課題とされていました。
指定難病になることで医療費助成制度の面において支援を受けやすくなるといったメリットがあります(医療費助成制度については後述します。)が、難病の中での「指定難病」の位置づけとしては、難病の中でもさらに定義を絞ったものであり、次のような考え方となります。

■「難病」の定義
発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより、長期にわたり療養を必要とすることとなるもの

■「指定難病」の定義
上述した難病の定義に加え、患者数が人口の約0.1%程度に達しないこと、客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していることが求められます。

指定難病の一例

指定難病の数は、上述した通り300を超えています。それらについてここで網羅することは難しいので、一例としてピックアップしてご紹介したいと思います。

・筋萎縮性側索硬化症
・パーキンソン病
・もやもや病
・全身性エリテマトーデス
・IgA 腎症
・広範脊柱管狭窄症
・下垂体前葉機能低下症
・甲状腺ホルモン不応症
・先天性副腎低形成症
・網膜色素変性症
・クローン病
・潰瘍性大腸炎
・筋ジストロフィー
・アイザックス症候群
・先天性魚鱗癬

その他、こちらからすべての指定難病を確認することができます。(厚生労働省HPより「指定難病病名一覧表」のExcelをダウンロードすることが可能です)

指定難病になるとどういった支援が受けられるのか

難病から指定難病になることで実現する支援として、指定難病を対象とした「医療費助成制度」があります。
医療費助成の支給認定を受けるには都道府県へ申請をおこない、認定を受ける必要があります。
無事、申請がみとめられても医療費助成の開始は申請が受理された日以降となるため、早めの対応が良いでしょう。
自身が医療費助成制度を活用可能か、また申請書類などについてはお住まいの都道府県へお問合せください。

指定難病で障害年金の受給はできるのか?

指定難病ですが障害年金を受給することができますか?といったご相談を受けることもありますが、その答えとしては「指定難病だから受給できる/できないではなく、障害等級に該当していてその他納付要件を満たしているかどうか」になります。
例えば、指定難病のひとつであり、安倍晋三元総理が患ったことで知名度があがった「潰瘍性大腸炎」の場合、持続的な腹痛がおこるなど日常生活で困難が伴うものとされています。
しかし、潰瘍性大腸炎であることのみをもって障害年金に該当するといった考え方ではなく、どういった重症度合いなのかや、人工肛門の造設有無などを踏まえたうえ、障害認定基準を満たすか否かを判断します。

おわりに

今回は指定難病での障害年金受給をメインテーマに、指定難病がうまれた背景や指定難病と難病との違いにも触れてご紹介しました。
今回のブログでは述べていませんが、難病と障害の違いが議論に上がることもあります。これは、一般的に障害のほうが支援を受けやすいことから、難病も同様にハンディキャップを抱えているにもかかわらず、両者の間で生まれる支援の壁について述べられることが多いですが、その視点についてはまた改めて別のブログでご紹介したいと考えています。

毎週月曜日に様々なテーマでブログを更新しています。幅広い方にとって興味関心を持っていただける内容となるようテーマを選定していますので、ぜひまたご覧いただけると嬉しいです。

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