箱庭療法ってなんだろう?いったい何がわかるのか調べてみた。
箱庭療法という心理療法をご存知ですか?心理療法は対話を通した面談であるカウンセリングや、過去ブログでも紹介した認知行動療法など様々な方法で行われますが、箱庭療法はその心理療法の1つです。
「箱庭」の言葉が含まれていることからも想像がつく通り、箱という限られたスペースの中で人形や様々な形のミニチュアを用いて、自身の感性のままに表現します。
では、この箱庭を作成する心理療法である箱庭療法は、どんな効果をもたらすのでしょうか?
このブログでは箱庭療法についてまとめています。
箱庭療法について知りたい人や、どんなものか興味を持っていた方の参考になればうれしいです。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
箱庭療法について
箱庭療法とは、冒頭でも述べたように箱の中で遊んだり表現をしたりする心理療法です。
箱庭療法で用いる箱には全体を見渡せる必要があることから、一般的に57cm×72cm×7cmの箱を用いるものとされています。
箱庭療法を行う際、箱には砂を敷きますが、砂を触ることによって感覚が刺激されて子供心を取り戻したり、砂に触れること自体が癒しの効果を持つなどと言われています。
箱庭療法を受ける者は、砂が敷かれた箱に様々なミニチュアから好きなものを選んで、思いのままに配置します。
日本における箱庭療法の歴史
箱庭療法はもともと海外で誕生した心理療法です。1965年に、この箱庭療法を日本に持ち込んで取り入れたのが河合隼雄氏です。河合隼雄氏は心理学者で、ユング心理学を専門としていました。日本名の「箱庭療法」もこの河合隼雄氏によって名づけられました。
箱庭療法の効果とは
箱庭療法はもともと子供に向けて開発された心理療法でしたが、いまでは大人にも用いられる心理療法です。
このように幅広い年代で用いることができるというメリットの他にも、自分の内にある悩みやモヤモヤをうまく言語化できない方にとっても用いられやすい心理療法です。
完成した箱庭をともに振り返ることができるのも箱庭療法の良いポイントです。
そんな箱庭療法に期待できる効果としては、無意識の可視化が進むことが大きいとされていますが、箱庭を作ること自体にセラピー効果があるとも言われています。
あの人気ゲームにも箱庭療法の要素があった?!
一時期とても流行した任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」には、箱庭療法と通ずる部分があるとも言われています。
私はゲームの名前くらいは聞いたことはあるものの、実際にプレイしたことはありません。なので具体的にどういったゲームか調べてみると、「自由に島で生活をする」ゲームなのですね。 魚を釣るなどしてお金を稼ぎ、自分の身の回りの住環境を整えて、暮らしを豊かにしていくようです。
確かにゲームの舞台となる島を自分の好きなように作り上げていく過程は箱庭療法と似通っているなと感じました。
箱庭療法が禁忌な病気とは
楽しみながら癒されて、自分の無意識の可視化ができる心理療法となると誰にとっても良いものに思えますが、禁忌とされている病気もあるようです。
その病気というのが「統合失調症」です。ではなぜ、統合失調症の方には箱庭療法が有効ではないとされているのでしょうか?
理由としては、無意識を意識してしまうことが統合失調症の方の治療過程の妨げになる可能性があるからとされており、破壊的な表現が可視化されたとき、症状が憎悪してしまう懸念があるとされています。
そのため、統合失調症の方に対しての箱庭療法は慎重に行うべきとされており、一般的には禁忌であるといわれているのです。
統合失調症とは
19世紀後半から認識されている病名で、かつて日本では「精神分裂病」と呼称されていましたが、偏見の助長を防ぐために2002年から統合失調症に名称変更されました。
統合失調症は100人に1人が発症するとされており、身近な病気といわれています。
特徴的な症状としては、妄想・幻覚・まとまりのない会話や行動・感情の平板化や意欲の欠如といったものがあります。
これらの症状は陽性症状と陰性症状に分けられ、妄想や幻覚は陽性症状に、感情の平板化や意欲の欠如は陰性症状とされます。
一般的にイメージされる統合失調症は陽性症状を発症している印象が強いと思いますが、実際には統合失調症患者は陰性症状の期間の方が長くうつ病と見分けがつきづらい時期もあることから、うつ病との誤診ケースもあるようです。
おわりに
箱庭療法という言葉自体、聞いたことが無い方も多かったかと思いますが、今回のブログを通じて箱庭療法のイメージをつかんでいただけたのではないでしょうか。
箱庭療法を体験できる場所もあるようですので、興味を持った方は体験するとより理解が深まることでしょう
箱庭療法は心理療法の1つですが、過去には同じく心理療法である認知行動療法についても取り上げています。こちらも併せてご覧くださいね。