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強迫症(強迫性障害)ってどんな症状?治療法や支援方法について

強迫症(強迫性障害)を公表した俳優やアイドルに関する記事が続き、この病名が記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

このブログでは、強迫症(強迫性障害)とは一体どんな症状があり、それによって日常生活がどのような影響を受けるのかについての理解を深める内容としています。

強迫症(強迫性障害)の症状に心当たりがあるご本人にとって参考にしていただける内容のほか、症状を抱える家族や友人を見守る周囲の人がどのような支援や対応をすれば良いのかについても触れています。

症状の強弱や現れ方は人それぞれ異なりますが、書籍も参考にしたうえでわかりやすくまとめています。

ぜひ、最後もまでご覧ください。

目次

強迫症(強迫性障害)ってなんだろう?

強迫神経症や強迫性障害と呼称されてきた強迫症は、100人に1~2人が抱えているとされる症状です。
しかし強迫症として現れる症状のバリエーションは幅広く、よく知られているものの例として「洗浄」や「確認」がイメージされるのではないでしょうか。執拗に手を洗ったり、何度も施錠を確認するといったような症状は見聞きしたことがある方も多いかと思います。
「気にしすぎ」「こだわりすぎ」として周囲の目にもうつり困惑させてしまうほどの症状で、本人にとっても強迫症による症状に振り回され、苦痛を感じたり生活に支障を来したりしてしまいます。
先述した通り、強迫症としての症状の現れ方は様々ですが、強迫症の症状にみられる共通点として、その過剰な行動や思考を「やめたくてもやめられない」といった点があります。
通常であれば、気になることがあり確認をすれば気が済む/不潔なものに触れても手を洗えば解消するといった一連の行動で済むところを、強迫症の場合は解消できる行動をとってもなおスッキリできず、繰り返してしまう状況に至ります。
強迫症とされる状態は「強迫行為」と「強迫観念」に大別できますが、それぞれ次のような症状が挙げられます。

<強迫行為>
・洗浄強迫:はじめは強迫観念(汚れるのはいや/汚れたら台無しになる)から逃れるために洗浄という行為をしていても、だんだんと洗浄自体が目的になってしまい、洗浄が儀式化してしまいます。
ひどい場合は異常なほどに時間をかけて洗浄してもキレイになったと思うことができず、1日の大半を洗浄に費やしてしまいます。

・確認強迫:施錠や火元の安全等を確認してもなお不安や確認衝動が繰り返され、何度も確認を繰り返してしまいます。
確認を繰り返しても確かさを得られず、むしろだんだん確信が持てなくなったり、自分の確認行為そのものを確認したくなっていくのが確認強迫の特徴です。

・順序強迫/計画強迫:この強迫行為は、決まりに強いこだわりがあるため、周囲とのペースが合わなくなっていくことに生きづらさが生じます。
具体的には、順序強迫の場合は物の置き方や物事の手順などに自分のルールがあり、それがたとえ客観的に無意味なものであっても、このルールを順守しないと気持ち悪いといったものです。計画強迫は、行動の前に綿密な計画を立て、その計画通りに行動することに重きを置きます。計画に狂いが生じたり頓挫することを許容できずに行動が制限されてしまいます。

・縁起強迫:ゲン担ぎや厄除け・お祓いなど、儀式をするほどに不吉な予感が増幅してやめられない状態を指します。
不安に覆われる不快感を拭うために儀式に明け暮れてしまい、それでも不安な状態が解消せずに苦しみます。

・懺悔強迫/謝罪強迫:過ちを悔い改め告白することを懺悔、自分の非を詫びることを謝罪と言いますが、懺悔強迫の場合は自分の胸の内の不道徳な考えや行為をあえて告白し、自分の心の汚れを払いたい衝動に駆られ、謝罪強迫は相手が覚えてもいないようなことを謝罪するために詫びて回るなどの行動を起こします。
いずれも謝罪・懺悔の相手が必要となるので、対象とされてしまった相手は困惑してしまいます。

<強迫観念>
・不潔恐怖/疾病恐怖/不道徳恐怖:いずれも「汚れ」に関連する強迫観念ですが、目に見えるもの見えないものにかかわらず、また、形あるものないものに関わらず、恐怖を抱いてしまいます。
不潔恐怖の場合は自己臭恐怖に代表されるように、自分の匂いを取り除くことに執着したり、他人の触れたものに触れないなど汚れに過剰に反応してしまう状況を指します。
疾病恐怖は、病に侵されるのではないかといった恐怖心が続き、検査結果を見ても安心できず常に不安感に覆われる様子を言います。
不道徳恐怖は、心の清廉さを失うことを恐れ、自分に生まれた雑念を許せない状況を指します。

・加害恐怖:自分が何かしでかしてしまうのではないか、誰かを傷つけてしまう(しまった)のではないか、といった考えにとらわれてしまう状況を言います。
他人を傷つけたくないといった気持ちが故に起きてしまう症状ですが、根底には「わざとではなくても加害者になったら人生が台無しになってしまう!」といった恐怖心が隠れているとされています。

・不完全恐怖:つまりは行き過ぎた完璧主義なのですが、自分が完璧と思えるまで何度もやり直しを繰り返したり、たとえその工程が非効率であっても1からやり直さないと気が済まないなどの思考にとらわれた状態を言います。

上述した症状をご覧になって、自分にもちょっと当てはまるな・・・?と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、例えば洗浄や確認は、強迫症でなくても私たちの生活では日常的に発生する動作です。それらの日常的な動作に異常に執着してしまう、必要以上に繰り返してしまうのが強迫症なので、強迫症でない人と、強迫症の傾向がある人の間は明確に分かれているというよりは、グラデーションなイメージのほうが近いかと思います。
どの程度から強迫症の症状として捉えるかも、その人にとって(あるいは周囲にとって)どのくらい苦痛をもたらすもので、どのくらい生活が支配されてしまっているのかが判断基準になると言えます。

参考書籍『強迫症/強迫性障害(ODC)考え・行動の繰り返しから抜け出す』

今回このブログを作成するにあたって、講談社より出版されている健康ライブラリーイラスト版の『強迫症/強迫性障害(ODC)考え・行動の繰り返しから抜け出す』を参考にしました。
この書籍は、原井クリニック院長の原井宏明先生と、原井クリニックにて医療事務・院長秘書を務めておられご自身も子供のころから強迫症を患った経験のある松浦文香さんが監修されています。
下記で示した5つの章から構成され、それぞれでわかりやすく説明がされています。

・第1章 それは強迫症の症状かも!?
・第2章 なぜ、こんなことに?
・第3章 「治す覚悟」を決めよう
・第4章 行動を変える!ERP実践法
・第5章 身近な人ができること

強迫症(強迫性障害)が起きてしまう原因とは?

強迫症を引き起こした原因がはっきりしている場合もあれば、きっかけに心当たりがないケースもあります。
きっかけがある場合では、例えば受験や就職、結婚・出産のようなライフステージに際して、責任感が強くなったり、守るべき存在が出来たことによるプレッシャーなどによって症状が引き起こされたり悪化したりすることがあります。
あるいは、もとからあった傾向がエスカレートするようなケースもあり、いずれの場合も症状を引き起こす刺激(トリガー)の種類が増え、強迫観念や強迫行為に膨大な時間を費やすこととなってしまい、日常生活に支障を来しはじめます。
また、強迫症のメカニズムとしては、脳の自己防御システムを担う部分の働きが活発になる説が有力とされています。この過剰な働きによって、リスクの無いものにも脳が過剰反応してしまい、リスクが高くない事象に対しても「なにかおかしい」と不安感や恐怖感を抱いてしまい、拭うための行動に繋がってしまいます。
あわせて注意が必要なのは、安易に発生源をストレスと結びつけるのではなく、強迫症は強迫観念がもたらす結果なのであり、自らストレスを強めてしまっている点を理解することが重要です。

強迫症(強迫性障害)は治るのか?

強迫症の場合の「治る」の捉え方については、もともと強迫症という症状自体がこだわりの延長にあるようなものなので、強迫症状に振り回される度合いが軽減し、生きづらさを少なく出来たら良しと捉えるのが良いとされています。
治療のアプローチとしては、薬物療法と行動療法が中心に行われており、併用して強迫症軽減を試みるケースもあります。
この章では、「行動療法」に焦点を当てて、ご紹介します。

行動療法はERPとも表現され、端的に説明をすると「あえていやなことに向き合う」といった方法をとります。強迫症は不安や恐怖といった「いやな感じ」に思考や感情、そして行動が支配される状態を言いますが、この「いやな感じ」が減少すればそれを打ち消すための行動も軽減すると言えます。
そのために、行動療法では「いやな感じ」に対する耐性を持てるよう、いやな感じに向き合い受け入れるといったアプローチをします。
例えば、本当であれば触りたくないものにあえて触ってみたり、手を洗うのを我慢したりといった具合です。
我慢ならない状況を自ら作り出すことになるので、本人にとっては非常に負荷の高い療法にはなりますが、70%の改善が見込めるともされています。

強迫症(強迫性障害)に悩む人への対応や支援

ここからは、強迫症を持つ本人ではなく、強迫症を抱える方の周囲の人に向けた内容です。
身近な人が本人のためを思ってした行動が逆効果になっていることもあれば、周囲の対応によって状況を好転させることもあります。
周囲の人が強迫症についての理解を深め、本人へ適切な治療を促し、自身が巻き込まれない距離感でサポートできるよう対応を知ることはとても重要です。
一番避けたいのは、本人の強迫症の症状に周囲が巻き込まれることですが、本人は時には自分ひとりでは対応しきれずに頼ってくることもあります。この要求に過度に答えてしまうと、本人は一層、強迫症の悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
巻き込みを防ぐための返答として、「安易に本人を安心/説得する声掛けをやめる」「わざと本人の不安や恐怖を上回ることを繰り返し発する」「対応が難しいときは無言で離れる」といった姿勢が重要であると参考書籍(『強迫症/強迫性障害(ODC)考え・行動の繰り返しから抜け出す』)でも示されていました。
イメージした対応方法とは異なると感じたかもしれませんが、「強迫症の症状に関することは本にの期待通りの返答をしないようにする」のがポイントであり、安易に頼りにされないようにするのが本人のためになるようです。
といえども、やはり本人の求める救いの手を差し伸べてあげたくなったり、家族だけでは抱えきれないこともあります。その場合は、仮に本人が受診を拒んだ場合でも、家族だけでまずは受診する「家族相談」を検討しても良いでしょう。

おわりに

強迫症(強迫性障害)について取り上げましたが、いかがだったでしょうか?
参考にした『強迫症/強迫性障害(ODC)考え・行動の繰り返しから抜け出す』において、強迫症があると生きづらいのかというと、軽症であればむしろ「完璧でありたい」「間違いを避けたい」といった慎重な傾向が仕事上で評価されるなど、「強迫はうまく使えれば強みにもなります」と紹介されていたのが印象的でした。
強迫症に対する治療法としてブログ内でも紹介した行動療法(EPR)は強迫症の症状が強く出ている方にとっては辛いものではありますが、うまく向き合って症状を緩和し、この特性を味方につけていけると良いですね。
そのためには強迫症に知見のある専門医の指導のもと、適切な治療法に出会うことが重要といえます。

このブログでは、週に1度のペースで新しい記事を更新しています。
様々なテーマを扱っているので、ぜひまたご覧いただけると嬉しいです。

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