発達性トラウマとは?第4の発達障害って呼ばれているってホント?
発達性トラウマは第4の発達障害として知られるようになってきましたが、詳しくはわからないといった方も少なくないのではないでしょうか。
今回のブログでは発達性トラウマとは何か?がわかるように、参考書籍のご紹介も交えた内容にしています。
第4の発達障害といわれるようになった理由についてもご紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
発達性トラウマとは?
発達性トラウマと聞いて、どういった状態を指すのかイメージが浮かぶでしょうか。
トラウマという言葉のイメージから大きな事件や事故、自然災害による甚大な被害などに遭遇したことによるショッキングな体験に囚われるようなイメージが浮かびがちかもしれませんが、発達性トラウマ障害の場合はこれらとは少し異なります。
いわゆるトラウマが単回性であるのに対し、発達性トラウマは原因となる事象に反復性があり、つまり慢性的にトラウマの原因にさらされます。
原因が特定のエピソードに限られず、心のダメージが幾重にも重なった結果といったイメージですね。
ここまで聞いて、「複雑性PTSD」との違いについて気になる方もおられるのではないでしょうか。
複雑性PTSDとは、反復性のトラウマによるものを米国の精神科医師ハーマンによって概念化されたものであり、2018年にWHOの国際疾病分類の正式な診断名として採用されました。
複雑性PTSDもトラウマの原因に「反復性」がある点が特徴ですが、発達性トラウマは複雑性PTSDの原因になりうる、“子ども時代に追ったトラウマ”のことを言います。多くの場合では、家庭内や学校といった狭い空間でそういった反復性のあるトラウマの原因にさらされるとされています。
そもそも日本でトラウマという概念が認識されるようになったのが阪神大震災以降と言われており、発展途上の分野だとされています。そういった経緯もあってか「トラウマ」といった概念の正しい認知がされておらず(あるいは単回性のもののみが認知されているなど)、発達性トラウマについてはまだまだ認知が進んでいない状況のようです。
発達性トラウマについて知りたい人におすすめの参考書籍
発達性トラウマをブログテーマに掲げたきっかけは、写真の書籍『発達性トラウマ「生きづらさ」の正体 自分を責めてしまいがちな方へ』を読んだことでした。
本書は公認心理師の三木一太郎(みきいちたろう)さんによって書かれていて、カウンセリングに携わってこられた立場から発達性トラウマをわかりやすく解説してくれている内容になっています。
また、「トラウマ」というワードが含まれるがために誤解を受けやすい点にも考慮して、第1章でも触れたようにトラウマにも原因が単回性なのか反復性なのかによる違いがあることや、トラウマはストレス障害と類似していることについても説明がされており、発達性に限らずトラウマという概念を理解できるような内容にもなっていました。
発達性トラウマが第4の発達障害と言われている理由
発達性トラウマが第4の発達障害といわれるようになったきっかけは、医師の杉山登志郎さんが臨床経験から“虐待によって発達障害のような症状となる”傾向を見出し、提唱したことにあります。
「愛着障害」といった言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、発達性トラウマは愛着障害とほぼ同義でとらえられており、その愛着障害の研究においても発達障害との類似性は指摘されています。
ただ、どうして酷似した状態を引き起こすのかについては明確な理由がわかっておらず、“発達や適応が阻害される”といった点に理由があるのではないか?というのが現在の見立てのようです。
このことは先にご紹介した参考書籍でも以下のように述べられていました。
トラウマでも同様に、自己喪失や社会からの離断によって“適応”が阻害されることも、トラウマの生きづらさが発達障害のそれと類似する理由の一つと考えられます。
おわりに
発達性トラウマについてご紹介しました。このブログを通じて、発達性トラウマとはどういったものか考えるきっかけにつながると幸いです。
ブログの中でご紹介した参考書籍もぜひお手に取ってみてくださいね。
このブログは、週に1度のペースで更新しています。幅広い方のお役に立てるよう、様々なテーマでお届けしています。よければ過去ブログもお読みいただけると嬉しいです。
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