はたらく細胞BLACKから見る、過重労働
はたらく細胞の映画化が話題になる中、スピンオフ作品に『はたらく細胞BLACK』もあるのをご存知ですか?
はたらく細胞よりも飲酒・OD・性病といったストレス社会を生きる現代人にとってドキリとさせられるテーマが扱われています。
社労士としては、労働環境によるストレスが心身にどれほどの悪影響を与えるか…といった目線で読んでしまいました。
ということで!今回のブログは、コミック『はたらく細胞BLACK』を通じて過重労働について触れていきたいと思います。
目次
はたらく細胞BLACKとは?
はたらく細胞BLACKは、いま映画化で話題の『はたらく細胞』のスピンオフ作品です。
本家『はたらく細胞』とはテイストが異なりダークな世界観です。
というのも、舞台となるのが不摂生な生活を送りブラック企業で勤める主人公の体内であり、それゆえに引き起こされる諸問題がテーマになっているからです。
つまり身体の持ち主がブラック企業で勤めているのに連動して、身体そのもの(体内)もまるでブラック企業になる…といった過酷な体内のお話しなのです。
本家『はたらく細胞』同様にアニメ化もされている作品です。
はたらく細胞BLACKにみる、過重労働
はたらく細胞BLACKでは、体内の細胞が擬人化されていますが、新人赤血球の男の子が主人公です。
体の持ち主はブラック企業で働くため日々ストレスにさらされていて、過度な飲酒や喫煙、そして暴飲暴食によってコレステロール値が高くなるなど、まったく健康を顧みない生活を送っています。
ストレスによって円形脱毛症になったり、性病にかかったり、水虫になったり…。体内の細胞たちは休まる暇もなく、まるでブラック企業で働く人間のように日々色々な問題に立ち向かいます。
過重労働がいかに様々な不調の引き金になるかが伝わるストーリー構成になっています。
過労死ラインって?
過労死等問題を考えるまえに、「過重労働」についても改めて整理してみます。
時間外労働や休日出勤が慢性的に続いており、心身に大きな負担がかかっている状態(不規則な勤務や度重なる休日出勤などが原因で、労働者の身体・精神に大きな負荷がある働き方)を指します。
労働時間について具体的な数字でみてみると、「時間外労働・休日労働が月100時間または2~6か月平均で月80時間を超える」といったラインがあります。
▼ 厚生労働省より発行されているパンフレット『過重労働による健康障害を防ぐために』も確認してみましょう。
このように一定ラインを超えると「過重労働」といわれる状態となりますが、これは別名「過労死ライン」とも呼ばれています。
過重労働の判定には、労働時間数だけでなく、「心理的負荷」「身体的負荷」「勤務間インターバル」などといった視点でも判断されます。
参考:過労死等防止対策専用HP
はたらく細胞BLACK、第6巻
はたらく細胞BLACKでは、特に第6巻が考えさせられる内容でした。
体の持ち主がオーバードーズをするといったショッキングなシーンから始まり、胃洗浄による体内の混乱が描かれます。
また、ストレスに対処するために分泌されたコルチゾールが脳の神経細胞の萎縮を招いたことから次第に鬱にかかってしまうといった展開です。
鬱に関する細胞擬人化の描写は秀逸で、随所で鬱に関する医学的な情報も分かりやすく触れられているので、マンガとしてのストーリーの中で理解が深まりました。
鬱は「心の風邪」とも言われますが、軽い風邪のように時間がたてば良くなると軽く見るのは危険です。
そのことはマンガの中でも「白血球さんが細菌と戦うことで炎症を起こしてしまうように今回のうつも体がストレスと戦い自らを傷つけることで起こってしまったんだ…」「うつは怪我や病気と同じ…神経細胞さんが傷ついたことで起こっているから放っていて治るものではないんじゃないかな…」といったセリフで触れられています。
おわりに
過重労働から生まれるストレスから、睡眠不足・過食・飲酒・喫煙といった健康の悪化につながる行動を招き、それらの行動による病気や不調が引き起こされます。
それだけではなく持続的な強いストレスは免疫に大きな影響を与えるため、自律神経の失調や免疫細胞の働き低下を招きます。
過重労働によるストレスは本当に軽視できないので、社労士としても労働環境の改善には使命感を持って取り組みたいと思っています。
このブログでは、週に1度のペースで新しい記事更新し、多種多様なテーマで情報を発信しています。ぜひ、また過去ブログもご覧いただけると嬉しいです。