キャリア形成とは?自分はどうなりたいか考えてみませんか

キャリア形成に向き合い、自身の理想とするキャリアを具体的に描き、実現に向けて行動に移せている人はどの程度いるでしょうか。
もちろん、どれだけ計画を練っても思い通りにいかないこともたくさんあります。むしろ思い通りにいかないことのほうが多いともいえるほどです。
会社の業績も自身の評価(ひいてはキャリア形成)に大きな影響を及ぼす要素のひとつですが、会社の業績は自分ひとりの力ではコントロールが難しいですよね。社会の変化なんて、もっと難しいです。
そう考えると、“何が起こるかわからない環境”、“コントロールが難しい状況下” の中で意思をもって自分のキャリアを形成していくことなど夢物語のように思えるかもしれません。
それでもキャリア形成と向き合うことが重要とされる理由について、関連書籍のご紹介を交えつつ、このブログでは触れていきたいと思います。
ぜひ、最後までお読みいただけると嬉しいです。
目次
- ○ キャリア形成の意識、お持ちですか?
- ○ キャリア形成と向き合うことの重要性
- ・『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』/トイアンナ 著
- ○ キャリア形成とともに語られる「自己啓発」
- ○ おわりに
キャリア形成の意識、お持ちですか?
キャリア形成意識の有無を問われ、自信をもってキャリア形成の意識があると答えられる人は多くないかもしれません。
厚生労働省の発表している労働経済分析(令和4年度)においても主体的なキャリア形成に向けた課題がいくつか指摘され、キャリアの見通しや自己啓発の取組の重要性が説かれています。
具体的には、“労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上”といったいわゆるキャリアコンサルティングの視点から、転職を含む職業生活設計の意識(つまりキャリア形成の意識)を持つことが職業生活への満足度を高めるとしています。
我々が仕事に費やす時間は人生の大半を占めるといっても過言ではありません。ならば、できるだけ満足度の高い時間にできるのが理想ではないでしょうか。
キャリア形成と向き合うことの重要性
キャリア形成意識を持つことの大切さは上の章で触れた通りですが、意識的に取り組む一歩として、まずは自身のキャリア形成に向き合うことが重要です。
「適職」という言葉もよく耳にするようになりましたが、誰しも向き不向きがあります。適性のない分野での努力を否定するわけではありませんが、あえて苦手なことで勝負をすると険しい道を行くことになるのは想像がつくことでしょう。
キャリア形成は過去そして現在の歩みの積み重ねです。短期決戦ではなく長期的な目でみて道が拓けていくような視野を持つことは大切です。
『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』/トイアンナ 著
これまでのキャリアを振り返り、これから自分がどうありたいか(なりたいか)を見つめなおすときにオススメなのが、トイアンナさんによる『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』です。
本のタイトルだけ聞くと「責任を持たずにお金が欲しいなんて…!」と誤解を抱かせるかもしれませんが、実際は自分をすり減らさずに働いていくためのハックが惜しみなく詰め込まれた1冊なのです。
たとえば、自分を周囲に過剰適応させて擦り減る、社内政治を失敗してやりづらい、なんでもハラスメント化される現代で部下を育てづらい、周囲に頼れずに仕事を抱え込んでしまう・・・などなど、社会人にとってあるあるに対する対応策や解決策が示されています。
特に「周囲への過剰適応」は思考のクセとなってしまうといった旨の解説が印象的でした。本来ならば得意なことを活かせるようにエネルギーを費やすのが効率的なはずなのに、努力でカバーしているほうが自分と向き合わずに済む(頑張っている気になって安心できる)ために過剰適応している自覚も持たないままに疲弊してしまう。あなたにも心当たりはありませんか?
極論、「努力しなくても評価されることを仕事にすると、仕事は楽しくなる」というのがトイアンナさんからの助言で、そのためには「理想の人」ではなく「目標の人」を掲げてみるのが良いともアドバイスしています。
同じようなニュアンスに思える「理想の人」と「目標の人」ですが、過剰適応しがちな人が「理想の人」を描くとき、「自分より頑張って成功した人」を思い浮かべがちなのだそうです。つまり、「自分の弱点を強みとする人間」を理想の人に据えてしまうということです。
これに対して、「目標の人」というのは「自分と同じ強みをより活かして成功している人」を選びます。そうすることで、短所を補う努力ではなく、長所を伸ばし活かす努力に注力できるというわけです。
キャリアを見つめるとき理想像を問われがちですが、その際はこの、理想の人/目標の人の違いを踏まえて考えられると良いかもしれませんね。
また、キャリアに躓いたときに自責で捉え内省することも大切ですが、身を置いている環境が適切かどうか広い目で見直すことの大切さにも、この本は気づかせてくれます。
トイアンナさんの「企業や部署の文化によって人はトップアスリートから落ちこぼれにまでなれる。大体の人の有能・無能は、この相性によって起きる」という言葉は、ハッとして励まされる人も多いのではないかと感じました。
他にもたくさんの気づきを与えてくれるので、ぜひキャリアに行き詰っている人に手に取ってみてほしいです。
キャリア形成とともに語られる「自己啓発」
キャリア形成について興味を持って調べていくと、自己啓発の促進に行き着くかと思います。
自己啓発と聞くとその言葉のイメージからどこかうさん臭さも感じるかもしれませんが、理想のキャリアを実現していくためには読んで字のごとく自己を啓発(新たな知識や気づきを得ること)していくことは避けて通れません。
そこで、自己啓発のジャンルで近年よく耳にするのが「リスキリング」ではないでしょうか。
過去ブログでも紹介したことがありますが、「リスキリング(Reskilling)」の意味としては、Re+skilling、つまり技術の再習得(学び直し)のことです。具体的には、新しい職業に就くため又は現在就いている職業で必要とされるスキルに適応するために、必要なスキルを身に着けることさします。
必要だけれどもいまの自分には十分ではないスキルを習得する、つまりインプットしていくことなので、自己啓発に取り組んでいる実感が持ちやすいと言えそうです。
しかしリスキリングに取り組む前に、意識したいのが次に紹介する「アンラーニング」です。
リスキリングとアンラーニングの両方を意識できれば、より効率的に自己啓発が進むことが期待できます。
アンラーニングとは、誤解を招きがちなネーミングではありますが決して“学ばないこと”ではありません。
新しく必要な知識を得るために、不要な知識を捨てるという前向きな「学習棄却」とされ、「学びほぐし」などと表現されることもあります。
先に紹介したトイアンナさんの書籍においても、このアンラーニングについて触れられた部分があり、そこでの「このままじゃ立ち行かなくなるスキルを捨て、新しいスキルを身につけなおすこと」といった説明がとても分かりやすいと感じました。
トイアンナさんは、アンラーニングすべきこととして「(自身が)過剰適応していること」を挙げています。
過剰適応とは、周囲の期待や要求に過度に自分を合わせようとする状態を指す言葉です。
人には意識せずともできてしまう得意分野があるのに対し、努力でカバーしなければならない苦手分野があります。
過剰適応は後者、つまり苦手分野を克服しようとした結果起こることが多く、心身を消耗してしまいます。
“努力でカバー!”のマインドで得てきたスキルは、トイアンナさんの言うところの「このままじゃ立ち行かなくなるスキル」のひとつといえます。
ただ闇雲に自己啓発やリスキリングに取り組むよりも、まずは限界のあるスキルに費やす時間を捨てて(アンラーニングして)、より自分の得意を伸ばせるジャンルでに時間を避けるよう自身のスキルを棚卸することは重要といえます。
おわりに
キャリア形成をテーマにお届けしましたが、いかがだったでしょうか。
AIの台頭によって将来失われる職業なども噂されなにかと不安になる現代ですが、時代の変化にも適応できるキャリアを築いていきたいものですね。
これまでも、キャリアに関連したブログ記事を公開してきました。関心のある方はぜひそちらもご覧いただけると嬉しいです。
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