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眼の障害での障害年金申請では可能?ポイントとともに解説

眼の障害を抱える方は、あなたの身近にいらっしゃいますか?

身近にいなくても、一歩外にでると点字ブロックがあったり、駅などでは音声アナウンスがあったりもしますよね。

街中で白状をお持ちの方や盲導犬を連れた方を見掛けたこともあるのではないでしょうか。

令和6年5月31日に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部より公表された『令和4年生活のしづらさなどに関する調査 (全国在宅障害児・者等実態調査)結果』によると、視覚障害で身体障害者手帳を所持している方は273000人いらっしゃるそうです。(令和4年12月1日を調査日として実施)

今回のブログでは、眼の障害を抱える方が障害年金申請に関する情報を中心にまとめています。

その他にも眼の障害を抱える方について知るきっかけになる参考書籍もご紹介しています。

参考書籍も併せてご覧いただくことで、視覚障害をお持ちの方はどんな風にコミュニケーションをとっているのか、またどのように周囲から情報を得ているのかを知る事の手がかりになると思います。

ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。

目次

眼の障害での障害年金申請では可能?

眼の障害でも要件を満たせば障害年金を受給することは可能です。
障害年金の対象となる眼の障害には、「視力障害」と「視野障害」があり、それぞれに認定基準が設けられています。

眼の障害の等級認定については、2022年1月に次の改正がありました。

■視力障害
・良い方の眼の視力に応じて適正に評価できるよう、「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」による認定基準に変更

■視野障害
・これまでのゴールドマン型視野計に基づく認定基準に加えて、現在広く普及している自動視野計に基づく認定基準も創設
・求心性視野狭窄や輪状暗転といった症状による限定をやめて、測定数値により障害等級を認定するよう変更
・自動視野計による測定の導入に伴う基準の整理を行うとともに、視野障害をより総合的に評価できるよう、視野障害についても1級及び3級の認定基準を規定


参考: 令和4年1月1日から「眼の障害」の障害認定基準が一部改正されます(日本年金機構)

視力障害

眼鏡やコンタクトレンズを用いてもなお、以下に示す障害程度に該当する視力障害がある方

【1級】
①両眼の視力がそれぞれ0.03以下
②一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下

【2級】
①両眼の視力がそれぞれ0.07以下
②一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下

【3級】 ※障害厚生年金のみ
両眼の視力がそれぞれ0.1以下

【障害手当金】※障害厚生年金のみ
①両眼の視力がそれぞれ0.6以下
②一眼の視力が0.1以下

視野障害

視野障害では障害等級への該当有無をはかるための検査方法が2種類あります。
ひとつはゴールドマン型視野計を用いる検査、もうひとつは自動視野計を用いる検査です。

ゴールドマン型視野計はすでに製造中止されていることもあり、現在広く普及されている自動視野計を用いた検査も障害認定をはかる有効な検査方法となっています。

これら2つの検査方法のどちらを用いるかによって等級判定に差が生まれることもある点で注意が必要です。

【1級】
■ゴールドマン型視野計(GP)
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下

■自動視野計
両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下

【2級】
■ゴールドマン型視野計(GP)
①両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下
②求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の指標(中心視野)で両眼の視野がそれぞれ5度以内

■自動視野計
両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下

【3級】 ※障害厚生年金のみ
■ゴールドマン型視野計(GP)
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下

■自動視野計
両眼開放視認点数が70点以下

【障害手当金】 ※障害厚生年金のみ
■ゴールドマン型視野計(GP)
①両眼による視野が2/1以上欠損
②Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下

■自動視野計
①両眼開放視認点数が100点以下
②両眼中心視野視認点数が40点以下

眼の障害について考えるきっかけに ―おすすめ書籍の紹介―

眼の障害を抱える人のくらしとは、どういったものなのでしょうか。
社会は眼が見えることが前提で作られているので、大変なことがたくさんあると思います。
目を閉じると視界が真っ暗になり、突然歩き出すことが不安になります。まるで眼の障害を抱える人の気持ちを味わったような気持ちになるのですが、実際にはそれだけでは目が見えないという世界を再現できているとは言えないのです。
「見えない」というのは、ただ「見える」という機能を失うだけでなく、逆に足の裏の感覚や聴覚などで眼の障害を補うような発達がされていることもあり、その方によって眼の代わりとなる感覚の使い方には個性があるようです。
私は、そういった事実を次に紹介する伊藤亜紗さんの書籍『目の見えない人は世界をどう見ているのか』で知ることができました。

目の見えない人は世界をどう見ているのか(伊藤亜紗 著)

今回おすすめするのは、伊藤亜紗さんによる目の見えない人は世界をどう見ているのか(光文社新書)です。

著者の伊藤亜紗さんは生物学者を目指していた過去がありながらも大学の途中で美学に学問の対象を変えられたというおもしろい経歴をお持ちで、「美学と生物学がクロスするところ」としての視点で「身体」に興味関心を寄せていき、伊藤さんならではの視点と解釈を交えて分かりやすく読者に共有してくれる、そんな書籍です。
実際に視覚障害者の方々との交流を持ち、その交流の中での出来事や感じたことも紹介されています。
視覚障害に限らず障害のことには触れてはいけないような感覚になりがちです。しかし「自分と異なる体を持った存在」として “お互いを正しく面白がる(興味を持ち想像力を働かせる)” というのは素敵な視点だなと伊藤さんと視覚障害を持つ方々との交流から感じました。

新書版には装丁がヨシタケシンスケさんのイラストのバージョンがあり、私もそれをきっかけに手に取ったのですが、逆に伊藤亜紗さんも「そうだん」役としてヨシタケシンスケさんの絵本『みえるとか みえないとか』に参加されています。
▼こちらの動画では、伊藤亜紗さんとヨシタケシンスケさんの著者対談をみることができます!

おわりに

眼の障害を抱える方の障害年金について簡単にまとめたブログでしたが、ご覧になってくださった方のお役に立てていると嬉しいです。
このブログでは、毎週1回新しい記事を更新しています。テーマはその時によって様々ですが、今回のように参考文献やテーマに関連する書籍をご紹介することが多いです。
ブログ記事を読んでくださった方が、発展的にご自身でも情報収集されるきっかけになれば幸いです。

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ぜひ、またブログを見にきていただけると嬉しいです!

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