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セルフネグレクトの実態-それらが生じる背景や抱える問題とは?

セルフネグレクトとは、本人自身の基本ニーズ(衛生面、服飾面、食事など)を顧みない行為のことを言います。(厚生労働省:生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」より)

同じくe-ヘルスネットによると、「ネグレクト」という言葉はもともと、幼児・高齢者などの社会的弱者に対し、その保護・養育義務を果たさず放任する行為のことを指しており、身体的・精神的・性的虐待とならぶ虐待のひとつであると説明がされています。

このブログではセルフネグレクトについて知り、セルフネグレクトが生じる背景や抱える問題点について触れています。

ぜひ、最後までお読みください。

目次

セルフネグレクトをご存知ですか?

セルフネグレクトとは、冒頭でも述べたように「本人自身の衛生面、服飾面、食事など基本ニーズを顧みない行為」のことを指しています。
ゴミ屋敷問題などでニュースで取り上げられているのを、見たことがある人も多いことでしょう。
健やかな生活を営むうえで、身辺の清潔保持が欠かせないことは言うまでありませんが、こういった日常生活を維持するスキルが低下したり、あるいは欠落していたりするとセルフネグレクトを招くことにつながります。
次の章で、具体的なセルフネグレクトの実態についてご紹介します。

セルフネグレクトの実態

セルフネグレクトの実態に程度はあれど、周囲が気づくころには見た目にもわかる不潔感、居住スペースのゴミ屋敷化が進んでしまっていることも少なくありません。
セルフネグレクトの当事者は支援を拒否する傾向にあり、なかなか掃除や援助体制を築きづらいのも問題が深刻化する一因として挙げられており、またセルフネグレクトを抱える本人よりも周囲の人間が困ってしまうことが多いのもセルフネグレクト問題の特徴です。
セルフネグレクトの実態を知るのに非常に参考になる書籍があるので、次に紹介いたします。

参考書籍『母がゼロになるまで』/ 著 リー・アンダーツ

セルフネグレクトの実態が綴られたエッセイに、リー・アンダーツさんによる『母がゼロになるまで』があります。
セルフネグレクトについて教科書的な説明ではなくその実態を知りたいと思ってネット検索していると本書にたどり着き、書籍紹介として冒頭を少し読めたのですが、冒頭から想像を絶する内容で続きが気になりすぎて思わず書店へ向かい購入にいたりました。
後の章でも触れますが、セルフネグレクトの背景は様々です。本書でセルフネグレクトをしてしまうのは著者であるリーさんの母で、年齢的に認知症かと思いきや違います。本書の冒頭で以下のような記述があり、昔からセルフネグレクトが露見していたことがわかります。(その環境で育った筆者目線ではネグレクトの環境下にあったともいえます)

わたしが育ったのは、立ち上がると天井から下がる照明器具の傘が目線の下にあり、足元には沢山ゴミのあるおうち。何かおかしいなとおぼろげに感じながらもそれを受け入れ、わたしは大人になりました。

わたしはこの描写を脳内で再現するのに時間を要しました。(照明器具の傘が目線の下…?足元には沢山のゴミ…?)
リーさんは独立して母とは別に暮らしていたのですが、その間も母のセルフネグレクトは改善されません。
母が自宅を引き払ってリーさんの自宅近所に越してくる際も、元住んでいた部屋をゴミ屋敷化させたとして大家さんから高額な修繕費の請求が来るなど、まさに立つ鳥後を濁しまくりでリーさんはこれらの対処に追われます。
ただ片付けができないだけでなく、計画的なお金の管理もままならず、遠縁の親戚や同じアパートの住人など手当たり次第にお金を無心します。
新居もすぐにゴミ屋敷化してしまったため、リーさんらは強制的に清掃に乗り出しますが、高額な領収書や借用書、高級ホテルの利用明細が次から次へと出てきます。あらゆる利用料金の督促が山のように見つかりリーさんはギョッとしますが、当の本人はしらを切ったり同情を買おうと小芝居をうったりと全く反省の様子が伺えません。
のちに精神科医からこれらの「クセ」は発達障害から来るものと説明がなされ、リーさんも金銭管理を請け負ったり節約のための自炊を教えたりとフォローのために必死になるものの、一向に自体は好転しません。
セルフネグレクトの母がこの世を去るまでの壮絶な記録は想像を超えるエピソードばかりで、ショッキングであると同時に学びも多かったです。

セルフネグレクトはどうして起こるのか

セルフネグレクト(自己放任)が起こる背景・原因について考えてみましょう。
まず考えられるのが精神疾患よる影響で生活に支障が生じるケースが挙げられます。
精神疾患のうち、例えばうつ病の場合はうつの症状から行動がおっくうになることで、自分自身の世話や身辺の整理がままならずセルフネグレクト状態を生んでしまいます。
このような状況は、ライフイベントなど人生においての大きな節目での躓きや、大切な人との死別がきっかけとして引き起こされることも少なくありません。
そのほかにも統合失調症などによって入院が長期化していたあとに自宅へ戻っても生活を営むことが困難といったケースも考えられます。
また、発達障害でも障害がある程度の重さになると、いわゆるライフスキルが十分でなく生活を営むことが難しい場合がありますし、依存症や認知症による生活の荒廃による背景も考えられます。
つまり様々な背景によってセルフネグレクトを引き起こす可能性があり、誰にとっても他人事ではないと言えます。

セルフネグレクトに悩んだら

セルフネグレクト状態にある当事者や、またそれに頭を抱える家族はどこで悩みを相談すれば良いのでしょうか。
まず大前提として、病気による影響が疑われるのであれば医療につながるのは必須です。
そのうえで本人サポートに必要な支援をどのようにして受けられるかを検討していくのが良いでしょう。
セルフネグレクトを抱える方が高齢等の場合、相談先のひとつとして「地域包括支援センター」を検討することができます。

地域包括支援センターとは
・市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設である。(介護保険法第115条の46第1項)
・主な業務は、介護予防支援及び包括的支援事業(①介護予防ケアマネジメント業務、②総合相談支援業務、③権利擁護業務、④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務)で、制度横断的な連携ネットワークを構築して実施する。
このように、地域包括支援センターは地域の高齢者の総合的な支援窓口であるため、介護・医療・保健・福祉など地域のさまざまな社会資源の活用の提案を受けることができるでしょう。

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