ブログ

Blog

カスハラを理由に離職が増加中。人材確保のためにも対応策の検討が必要です!

カスハラ=カスタマーハラスメント。つまり、客からの理不尽な攻撃のことを言います。

大きな声を出す・乱暴にふるまうといった威圧的な言動や、土下座の強要や長時間のクレーム、またその様子を写真や動画等に収めてSNSで拡散するぞといった脅しなど、客の行き過ぎた行動が問題になっています。

このカスハラ問題が社会でも浸透してきて、最近は企業のカスハラ対策も進んできました。

カスハラによって委縮してしまい業務に支障がでる、対応した従業員が精神的な苦痛を伴う、退職の判断を招いてしまうなど、企業としても見過ごせない状況が増えてきたことが背景として考えられます。

日本の労働者は世界トップクラスで勤勉と評価されます。そういった性質からか、サービス業においては高い接客レベルが保たれ、「おもてなし」といった言葉とともに賞賛される声もよく見聞きしますよね。

いわゆる「お客様は神様」といった概念が日本で根付いたことでおもてなし精神が受け継がれ、世界に誇る高水準な接客が提供できていることでしょう。しかしながら、その一方で客と対等な関係が築けないといった側面もあるのではないでしょうか。

このブログでは、近年の日本におけるカスハラ問題を取り上げ、そこから派生して人材確保にも影響を与えていることについても論じていますので、最後までお読みいただけると嬉しいです。

目次

カスハラと「貴重なご意見」の境目とは?

カスハラをブログテーマにしたいと考えていたころ、買い物先で「お客様の声」が掲示されているのを見掛けました。
ユニバーサルデザインの観点から店内のつくりについて提言した有益な意見ももちろんありましたが、その多くが客からの一方的なクレームのように思えて、読んでいるだけでも気が滅入るようなものでした。

例えば、「UFOキャッチャーで景品が取れないと子どもが悲しむので、1回で取れるようにしてほしい」といった「果たしてそれはゲームといえるのか・・・?」といったものや、「●●という店のロングヘア―で20代くらいの●●という名札をつけた女性の挨拶の声が小さい」といった対象を特定できるような記載での指摘などがありました。
さすがに個人名がわかるものは氏名が書かれた部分にマスキングを施していましたが、見た目の特徴なども併記されてしまうと本人は自分のことだと悟ってしまうのではないでしょうか。
ひとつひとつのお客様の声に丁寧に回答を添えて掲示されている有様は、皮肉にも“カスハラの教科書”のように思えました。

紹介したように「お客様の声」の大半は無茶苦茶で一方的なクレームなのですが、一部店側の気付きに繋がるようなものもあり、「カスハラと貴重なご意見の境目」はどこにあるのだろうと考えさせられました。
そこでカスハラについて改めて確認してみたところ、厚生労働省によるガイドブック『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』では、以下のように定義づけられていました。

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの

この「社会通念上」を弁えない顧客が多いためにカスハラ問題が生じやすく、本人もカスハラの自覚がない(あるいは正当化する)ことも少なくないのが厄介なところです。

カスハラを理由に離職者が増加!

カスハラが障壁となって採用が難しくなったり、せっかく採用した従業員が退職してしまうなど、企業にとってもカスハラ対策は大きな課題です。
実際にカスハラを理由とした離職は増加傾向にあり、パーソル総合研究所が実施したカスタマーハラスメントに関する定量調査によると、顧客折衝があるサービス職のカスハラ被害の経験率が35.5%と高く、カスハラ被害者は離職意向を持ちやすく、結果として離職率が高まる傾向にあると指摘されています。

カスハラが起きやすいとされる職種は?

上記の調査対象は「顧客折衝があるサービス職」に絞られており、具体的には事務・アシスタント、営業、カスタマーサポート、飲食・宿泊接客系職、理美容師、航空機客室乗務員、コンサルタント、教員、ドライバー、警備、医療・福祉系職員が対象とされています。
このような対人援助職を含むサービス業では「感情労働」を伴うことが多いため、もともと強いストレスにさらされがちな職種です。特に日本のようにある種“行き過ぎたおもてなし精神”がスタンダードになっている国においては接客シーンでの対等性が確保されにくいのもカスハラ問題の根底にあるでしょう。

カスハラ対策について考えよう

カスハラが社会問題になりつつあることから、カスハラ対策を促進する動きがあります。実際に東京都で全国初のカスハラ防止条例が成立し、2025年4月から施行されます。
詳細は『東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方』として公開されており、内容を知ることができます。
これを契機に各社が次々と姿勢を表明しているほか、東京都に続いて三重県・埼玉県・北海道もカスハラ防止のための条例制定に向けて動いています。

カスハラから従業員を守るために

カスハラが起こる現場、つまり顧客との接点があるサービスの最前線を担っているのは従業員です。
企業はそのことを認識して、日頃どのような顧客対応で従業員が悩んでいるのか、それを解消するためにはどういった手立てが有効なのかを検討する必要があるのではないでしょうか。
事業主には従業員に対して「安全配慮義務」を負っていますが、そういった視点から事業主のカスハラに関する安全配慮義務違反を争う判例もあります。

このブログでは、今回のように社会的な話題を労働問題と絡めたテーマ以外にも、弊社の主力サービスである「障害年金」にまつわるテーマで情報発信をしています。
週に1度のペースで発信しているので、過去記事もご覧いただけると嬉しいです。

\人気記事ベスト3をご紹介!/
<第1位>カサンドラ症候群って知ってる?職場で生まないために注意すべきポイントをご紹介。
<第2位>生活保護を返金することになるってホント?!障害年金との調整について社労士が解説!
<第3位>自己愛性パーソナリティ障害ってどんな病気?障害年金の受給対象になるかについても解説。

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ