「人が辞めない会社」の共通点とは?中小企業でもできる3つの工夫

「なぜ、あの会社は社員が長く働いているのだろう?」…そんな疑問を抱いたことはありませんか?
人手不足が深刻化している今の時代、「採用」だけでなく「定着」が企業にとって大きなテーマになっています。特に中小企業では、人が辞めるたびに大きな痛手となるため、“辞めない職場”をどう作るかは、経営戦略の一つと言ってもいいほど。
今回は、「人が辞めない会社」にはどんな共通点があるのか? そして中小企業でも実践可能な“ちょっとした工夫”を3つご紹介します。
目次
- ○ 「人が辞めない会社」には何がある?共通点を探ってみた
- ○ 「人が辞めない会社」をつくる3つの工夫
- ○ 「人が辞めない会社」には“人を大切にする姿勢”がある
- ○ まとめ:人が辞めない職場づくりは、特別な制度より“日々の工夫”から
「人が辞めない会社」には何がある?共通点を探ってみた
まず、社員の定着率が高い企業には、いくつかの共通点があります。
もちろん業種や規模によって違いはあるものの、どの会社にも共通する「人が辞めない理由」が存在しています。
この共通点3点を順番にみていきましょう!
【共通点①】心理的安全性がある
以前にこのブログでも心理的安全性について紹介したことがありましたが、社員が自由に意見を言える雰囲気、失敗を責められない空気感が保たれた心理的安全性がある会社は、社員が「居心地の良さ」を感じやすくなります。
居心地の良さには“上司に相談しやすい““同僚同士の助け合いが自然にできる”などといった好循環にもつながります。
このように心から安心できる環境で働くことは、働くうえで生じるストレスの軽減にもつながります。
【共通点②】成長の実感がある
仕事を通じて「自分は成長している」「スキルアップできている」と感じられることも、離職防止の大きな要因になります。
以前に自己効力感を入り口にワークエンゲージメントについてご紹介したことがありますが、昇進や昇給だけでなく「任されている」「頼られている」と実感できる場面があると社員のモチベーションは大きく変わります。
【共通点③】職場環境や働き方に柔軟性がある
育児・介護との両立、リモートワークや時短勤務など、社員のライフステージに合わせた働き方が認められている企業は、長く働きやすい傾向があります。マミートラックと呼ばれる出産育児によりキャリアが閉ざされる女性のキャリア上の課題を過去記事で取り上げたこともありましたが、ライフステージに変化があってもキャリアを積める企業であることを保障できれば社員は安心して勤続することができるでしょう。
「人が辞めない会社」をつくる3つの工夫
「そうは言っても、大企業みたいな制度は難しい…」そんな声が聞こえてきそうですが、実は中小企業でもできる工夫はたくさんあります。ここでは、すぐに取り入れやすい3つの実践例をご紹介します。
工夫①:毎日の「ちょっとした声かけ」で安心感を生む
意外かもしれませんが、社員が辞める理由の上位にあるのが「評価されていないと感じた」「気にかけてもらえなかった」という心理的なものです。
これは、先の章でも紹介した「心理的安全性」や「ワークエンゲージメント」にも通ずる考え方です。
そこで効果的なのが、日々の小さなコミュニケーション。
「あの件、ありがとうね」「大丈夫?無理してない?」「最近どう?」...こうしたたった数秒の言葉が、「ちゃんと見てもらえている」「自分はこの職場の一員だ」と感じさせる力になります。
もちろん、形式的になりすぎると逆効果ですが、上司・経営者が“関心を持ってくれている”という姿勢を見せることが大切です。
ささいなこともざっくばらんに話せるよう、1on1を実施してみるのもおすすめです。
工夫②:「ありがとう」が飛び交う文化づくり
「人は報酬よりも承認に動く」とも言われるほど、感謝や承認の言葉には大きなパワーがあります。
チーム内で成果を報告したら「お疲れさま、ありがとう」、電話を代わってもらったら「助かったよ、ありがとう」。こうした感謝の言葉が自然に行き交う職場は、それだけで居心地が良くなります。
実際、社員同士で「ありがとうカード」を書いて渡す仕組みを導入している会社もあり、「ちょっと照れくさいけど、嬉しい」と好評なんだとか。
これは制度化してもいいですし、まずは経営者や上司が率先して“ありがとう”を口にするところからでも始められます。
工夫③:社員の「本音」を引き出す時間を持つ
退職理由の中には「言えなかった本音」が潜んでいることもあります。
不満があったけど言い出せなかった、頼まれごとが重なって疲れていた、家庭のことを理解してもらえなかった...こうした本音を事前にキャッチするには、「雑談のような面談」が意外と効果的です。
形式的な評価面談ではなく「最近どう?何か困ってることない?」といったラフなコミュニケーションの場を設けると有効でしょう。
工夫①でも示したような、1on1の場を定期的に設けることで、社員の本音に気づくきっかけをつかめます。
ポイントは、「アドバイスをしよう」と思いすぎず、まずは“聞く”姿勢に徹すること。本音を話しても大丈夫な空気づくりこそが、最初の一歩です。
「人が辞めない会社」には“人を大切にする姿勢”がある
ここまで、辞めにくい会社の共通点と、中小企業でもできる具体的な工夫をご紹介してきました。
もちろん、完璧な会社なんてありませんし、全員がずっと辞めずに働き続けるのは現実的ではありません。
それでも、「ここで働き続けたい」と思ってもらえる空気づくりは、今すぐにでも始められるということは、お分かりいただけたのではないでしょうか。
最も大切なのは、社員のことを「人材」ではなく「人」として見ること。きれいごとに聞こえてしまうかもしれませんが、効率や数字だけでなく、働く人の気持ちに目を向ける姿勢こそが、辞めにくい会社をつくる最大の秘訣なのかもしれません。
「ちょっとした声かけ」「ささいな感謝の言葉」「本音を話せる場」こうした積み重ねが、結果として定着率の向上につながっていきます。
まとめ:人が辞めない職場づくりは、特別な制度より“日々の工夫”から
最後に、この記事のポイントを簡単にまとめてみます。
■ 辞めない会社の共通点・心理的安全性がある
・成長の実感をもてる
・柔軟な働き方を許容してもらえる
これをふまえて、「中小企業でもできる3つの工夫」は次の通りです。
・毎日の「声かけ」で安心感をつくる
・感謝の言葉が自然に飛び交う職場にする
・雑談のような面談で社員の本音を拾う
制度が整っていなくても、人を大切に思う姿勢があれば、それは必ず社員に伝わります。大切なのは、「いま、ここでできることから始める」こと。
あなたの職場が、「人が辞めたくないと思える会社」に近づくためのヒントとなれば嬉しいです。