キャリアは“設計するもの”か、“揺れながら築くもの”か ― キャリアコンサルタントの役割を考える

「キャリアは自分で設計するもの」と言われる一方で、実際には思い通りに進まないことも多くあります。転職、副業、働き方の多様化など、選択肢が増えた現代において、キャリアに迷いを感じる人も少なくありません。本記事では、キャリアの考え方の変化を踏まえながら、キャリアコンサルタントの役割や、これからの時代におけるキャリアの捉え方について考えます。
目次
キャリアは「計画通りに進むもの」ではなくなっている

かつては、新卒で入社した会社に長く勤めることが一般的であり、キャリアもある程度“予測可能”なものでした。昇進や配置転換といった道筋が見えており、それに沿って積み重ねていくイメージです。
しかし現在では、その前提は大きく変わっています。転職や副業が一般化し、企業側も終身雇用を前提としないケースが増えています。その結果、キャリアは一つの企業の中で完結するものではなくなり、より流動的なものへと変化しています。
この変化は自由度を高める一方で、「何を基準に選べばよいのか分からない」という迷いも生みます。選択肢が増えたからこそ、キャリアをどう捉えるか自体が問われるようになっているのです。
「キャリアを考えること」が負担になる理由

キャリアについて考えることは重要だと分かっていても、それが負担に感じられることがあります。その背景には、「正解を見つけなければならない」という意識があります。
「自分に合った仕事は何か」「どの選択が最も良いのか」といった問いに対して、明確な答えを出そうとすると、かえって動けなくなることがあります。
また、周囲と比較することも負担を大きくします。同期の昇進や転職の成功例などを目にすると、「自分は遅れているのではないか」という感覚を抱きやすくなります。
本来、キャリアは個人ごとに異なるものであるにもかかわらず、どこかで“共通の基準”に当てはめようとしてしまうことが、迷いを深める要因になっています。
キャリアコンサルタントの役割とは何か

こうした状況の中で注目されているのが、キャリアコンサルタントの存在です。
キャリアコンサルタントは、転職先を紹介する職業とは異なり、本人の価値観や状況を整理しながら、キャリアの方向性を一緒に考える専門家です。重要なのは、「答えを提示すること」ではなく、「問いを整理すること」にあります。
弊社においても、代表の太山がキャリアコンサルタントの資格を有していることを活かし、障害者雇用や相談支援の現場で、その視点を取り入れた関わりを行っています。単に制度や選択肢を提示するのではなく、ご本人の意向を起点に、どのような働き方や関わり方が現実的かを対話を通じて整理していくことを重視しています。
また、社労士としての人事労務の専門的な知見をベースに、キャリアコンサルタントとしての視点を掛け合わせることで、制度面と実態の両方を踏まえた支援が可能になります。例えば、働き方の選択が労務上どのような影響を持つのか、企業との関係性の中でどのような調整が現実的かといった点まで含めて検討することができます。
キャリアの問題は、単なる職種選びにとどまらず、生活や価値観とも深く結びついています。だからこそ、一方的な助言ではなく、伴走する形での関わりが重要になります。
キャリアは「揺れながら築くもの」

キャリアを一度決めたら変えてはいけない、という考え方は現実的ではなくなっています。むしろ、環境や状況の変化に応じて見直していくことが前提になっています。
その意味で、キャリアは「設計するもの」というよりも、試行錯誤を繰り返しながら築いていくものと言えるかもしれません。
大切なのは、最初から完璧な選択をすることではなく、その時点での最適解を選び、必要に応じて調整していくことです。この柔軟な考え方が、変化の多い時代においては重要になります。
また、キャリアの軸となる価値観を持ちながらも、それを固定化しすぎないこともポイントです。状況が変われば、優先順位が変わることも自然なことです。
おわりに

キャリアを取り巻く環境は大きく変化しており、「こうすれば正解」というモデルは存在しにくくなっています。その中で重要になるのは、自分自身の状況や価値観を整理しながら、納得感のある選択を積み重ねていくことです。
キャリアコンサルタントは、そのプロセスを支える存在として機能します。答えを与えるのではなく、考えるための視点を提供し、選択を後押しする役割です。
キャリアに迷いが生じることは、決して特別なことではありません。むしろ、それだけ選択肢が広がっている証でもあります。その迷いに対して、一人で答えを出そうとするのではなく、誰かと整理していくという選択肢もあります。
働き方が多様化する今だからこそ、「どう働くか」を一緒に考える存在の価値は、これからますます高まっていくのではないでしょうか。
