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男性育休の取得率が50%超え!企業が今取り組むべき「取得しやすい職場づくり」とは?

「男性の育児休業取得率が50%を超えた」というニュースが話題になっています。

厚生労働省が2026年7月31日に公表した「2025年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は50.9%となり、初めて5割を超えました。この数字は、政府が掲げていた「2025年度までに男性育休取得率50%」という目標も達成しています。

私も実務上で男性の育休取得の増加を実感していますが、今回の取得率からも男性育休が「特別なこと」ではなく、少しずつ当たり前のものになっていることが分かりますね。

このように社会的な変容がみられる一方で、男性育休は女性と比べると取得期間にはまだ大きな差があるといった課題もあります。

男性育休の取得率が向上してきたいま、これから企業に求められるのは単に「男性が育休を取得した」という実績を増やすことだけではなく、「必要な期間、安心して育休を取得できる職場」をどうつくるかといったことが求められるでしょう。

この記事では、男性育休取得率50%超えのニュースをきっかけに企業が考えておきたいポイントを解説しています。

目次

男性育休取得率50.9%―何が変わったのか?

今回の調査で最も注目されるのが、男性の育児休業取得率が50.9%となったことです。
この数字からは、「男性は仕事、女性は育児」という考え方が根強く残っていた日本の職場でも、男性が育児に参加することが少しずつ一般的になってきたことが見て取れます。

このような社会変容の背景には、育児・介護休業法の改正があります。最近でいうと、2022年10月には「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設され、子どもの出生直後に男性が育児休業を取得しやすくなりました。併せて、事業主には、労働者本人または配偶者の妊娠・出産等の申出があった場合に、育児休業制度等について個別に周知し、取得の意向を確認することが求められていることから、男性育休を必要とする方が必要な情報にアクセスしやすくなりました。

このように、法制度の整備と企業側の取り組みが進んだことで、男性が育休を取得しやすい環境が徐々に整ってきたと考えられます。

ただし、ここで重要なのが「取得率50.9%」という数字の見方です。上述したように取得率が50%を超えたということは、男性の育休取得が広がったことを示していますが、「育休を取得したかどうか」だけでは、職場における育児との両立支援の実態までは分かりません。

そこで次に重要になるのが、「どのくらいの期間、育休を取得したのか」という点です。

取得率50%超えでも「短期間の育休」は課題

今回の調査では、男性が取得した育児休業の期間について、「1か月~3か月未満」が30.3%で最も多く、「2週間~1か月未満」が28.0%でした。つまり、男性の育休取得者の中では、比較的短期間の取得がまだ多いということです。

もちろん、育休の適切な期間は家庭の事情によって異なります。子どもの出生直後に数週間取得することにも大きな意味がありますし、夫婦で育児の役割を調整しながら、必要な期間だけ取得するという考え方もあります。

そのため、「男性は長期間育休を取るべきだ」と一律に考える必要はありません。

一方で、企業側が注意したいのは、「取得率を上げること」だけが目的になっていないかという点です。
例えば、「とりあえず1週間だけ取ってもらおう」「会社として取得実績が必要だから、短期間でもいいので取得してもらおう」という対応になってしまうと、制度本来の目的から離れてしまう可能性があります。

育児休業は、労働者が育児と仕事を両立するための重要な制度です。

企業としては、取得日数を一律に決めるのではなく、本人の希望や家庭の事情を確認しながら、必要な期間を取得できる環境を整えることが重要です。また、長期間の育休を取得する社員が出てきた場合に備えて、業務の引継ぎや代替要員の確保についても、あらかじめ考えておく必要があります。

「育休を取りたい社員が出てから考える」のではなく、育休を取得することを前提に仕事を回せる仕組みを作っておくことが、これからの企業には求められるでしょう。

企業が今見直したい「男性育休を取得しやすい職場づくり」

男性育休を取得しやすくするためには、制度を整えるだけでは十分ではありません。

実際には、
・上司に育休を言い出しにくい
・周囲に迷惑をかけるのではないかと心配
・育休を取得すると評価やキャリアに影響しそう
・自分が休んだら仕事が回らない
・復帰後に居場所がなくなりそう
といった不安が、取得のハードルになることがあります。

そこで企業が取り組みたいのが、次の4つです。

① 育休を取得することが「普通」という雰囲気をつくる

制度があっても、「男性で育休を取る人はほとんどいない」という職場では、社員はなかなか取得を申し出られません。

特に管理職が、「この時期は忙しいから難しい」「男性がそんなに長く休むの?」といった発言をしてしまうと、制度があっても実質的に利用しづらくなります。

逆に、会社として男性育休を積極的に認め、取得事例を社内で共有することは、取得しやすい雰囲気づくりにつながります。

② 妊娠・出産の申出があった時点で早めに情報提供する

男性社員本人または配偶者の妊娠・出産について申出があった場合、事業主には育児休業制度等の個別周知と取得意向の確認が求められています。

ここで重要なのは、「本人から育休を取りたいと言われたら説明する」という受け身の対応にしないことです。
育児休業には、通常の育児休業だけでなく、出生時育児休業(産後パパ育休)などの制度もあります。制度を知らないために取得を検討できないケースを防ぐためにも、会社から積極的に情報提供することが重要です。

③ 育休中の業務を「属人化」させない

男性育休に限った話ではありませんが、「その人しか分からない仕事」が多い職場では、育休取得が大きな負担になります。

そのため、
・業務マニュアルの整備
・複数担当制
・情報共有のルール化
・引継ぎシートの作成
・代替要員の検討
などを普段から進めておくことが大切です。

これは育休対策だけでなく、病気や介護、退職、突然の休職など、さまざまなリスクへの備えにもなります。

④ 管理職への教育を行う

制度の説明を人事担当者だけが理解していても、現場の管理職が制度を理解していなければ、取得しづらい職場になってしまいます。

特に管理職には、「育休を取得させないようにする」のではなく、「どうすれば安心して取得できるかを一緒に考える」という姿勢が求められます。

育休取得の申出があった際に、業務上の課題があれば、それを理由に取得を思いとどまらせるのではなく、引継ぎや人員配置など、会社側で対応できる方法を検討することが重要です。

男性育休は「福利厚生」ではなく「人材確保」の問題へ

男性育休は、単なる福利厚生制度ではありません。これからの企業にとっては、人材確保や定着にも関わる重要な労務管理のテーマになっていくでしょう。

若い世代では、仕事だけでなく家庭生活も大切にしたいと考える人が増えています。「子どもが生まれたら育児に関わりたい」「配偶者だけに育児を任せたくない」という考え方を持つ男性も珍しくありません。

そのような社員に対して、会社が育児休業を取得しにくい環境を作ってしまえば、長期的には人材の流出につながる可能性があります。

一方で、育児休業を取得しやすく、復帰後も働き続けやすい会社であれば、「この会社ならライフイベントがあっても働き続けられる」という安心感につながります。

さらに、2025年10月からは、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対して、事業主が5つの措置の中から2つ以上を選択して講じる「柔軟な働き方を実現するための措置」も始まっています。
対象となる措置には、始業時刻の変更、テレワーク等、養育両立支援休暇、短時間勤務制度などがあります。つまり、これからの両立支援は「育休を取らせる」だけでは終わりません。

育休を取得する前、取得している間、そして復帰した後まで、仕事と育児を両立できる環境をどう整えるかを考えることが、企業の重要な課題になってきています。

まとめ|男性育休50%超えを「制度整備のゴール」にしない

男性の育児休業取得率が50.9%となり政府が掲げていた2025年度の目標を達成を経て、これからは一層「必要な社員が、必要な期間、安心して育休を取得できる職場」を作ることへの重要性が高まることでしょう。

エンカウンター社会保険労務士法人では、育児・介護休業制度に関するご相談、就業規則の整備、育児休業取得時の社内対応を含め、企業の労務管理を包括的にサポートしています。
自社の育児・介護休業規程や、育休取得時の社内対応について、一度見直してみてはいかがでしょうか。

制度を「作るだけ」で終わらせず、実際に社員が利用しやすい仕組みづくりを一緒に考えていきます。

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