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障害者権利条約からみる多様性のあり方

障害者権利条約をご存知ですか?

障害者権利条約は、2006年12月13日に国連総会において採択され、2008年5月3日に発効しました。

日本では2014年1月20日の契約締結を経て、2月19日からこの条約の効力が発生しています。

条約に締結することによって「日本国内での障害者の権利の実現に向けた取り組みの一層の強化」と、「人権尊重についての国際協力への一層の推進」が日本にも求められるようになりました。

日本ではこの条約締結に先立って、2011年には障害者基本法の改正、翌年の2012年には障害者総合支援法の成立、そして2013年には障害者差別解消法の成立と障害者雇用促進法の改正が行われました。

このように日本においても理解が少しずつ進んでいるところではありますが、まだまだ障害者権利条約の認知度は低いかもしれませんね。

このブログでは、障害者権利条約の紹介を通じて、皆さんが障害権利条約に関心を持つきっかけとなるとともに、より多様性について理解が進むことを目的としています。

ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

障害者権利条約とは

障害者権利条約というのは略称で、正式名称では「障害者の権利に関する条約」(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)です。 外務省HPに記載された情報を引用すると、障害者権利条約とは「障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置等について定める条約」です。
そしてこの条約の主な内容としては、次のように紹介されています。

1 一般原則(障害者の尊厳、自律及び自立の尊重、無差別、社会への完全かつ効果的な参加及び包容等)
2 一般的義務(合理的配慮の実施を怠ることを含め、障害に基づくいかなる差別もなしに、すべての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進すること等)
3 障害者の権利実現のための措置(身体の自由、拷問の禁止、表現の自由等の自由権的権利及び教育、労働等の社会権的権利について締約国がとるべき措置等を規定。社会権的権利の実現については漸進的に達成することを許容)
4 条約の実施のための仕組み(条約の実施及び監視のための国内の枠組みの設置。障害者の権利に関する委員会における各締約国からの報告の検討)

障害者権利条約に違反?日本が受けた勧告とは

過去ブログ『ニューロダイバーシティは雇用の多様化の前進に繋がるのか』でもご紹介した書籍『普通をずらして生きるニューロダイバーシティ入門』で、「分離を再生産する教育からの脱却」との見出しで問題提起がされている章があり、そこで日本の教育のあり方について国連から受けた指摘について触れられていました。

2022年、国連の障害者権利委員会は、日本に「障害児を永続的に分断した特別教育の禁止」を勧告しています。
06年に国連で採択された「障害者権利条約」に、日本は07年に署名、14年に正式に批准しています。
批准から8年の勧告書では、他国への勧告がおおむね10ページ前後のところ、日本には実に18ページもの分量が割かれていました。
日本において障害などの困難のある子どもに対する「分離教育」が続いてしまっている状況を、国際社会は重くとらえています。

これはいわゆる「特別支援教育」とよばれる、通常学級とは別に特別支援学校あるいは特別支援学級といった体制のことを指しています。
通常学級の中では行き届きにくい支援をするといった意味で問題がないように思えますが、特別なケアを目的としていても分離をしてしまった段階であらゆる機会を奪っているのではないかといった視点からの勧告のようです。
機会が奪われるのは決して障害を持つ側だけの問題ではなく、障害をもたない側としても子供のころに分離した環境で育つと、身の回りに障害をもった人がおらず、障害に対する理解を持たないまま大人になってしまうという懸念もあるといったことが、本書では説かれていました。

障害者権利条約について知りたい方におすすめの絵本

障害者権利条約について、幼いころから関心を持てると理想的ですよね。
そこでおすすめしたいのが2015年5月に汐文社から出版された『えほん・障害者権利条約』(作:ふじい かつのり、絵:里 圭)です。
この絵本では、障害者権利条約の誕生からめざす社会までが分かりやすく紹介されています。
絵本の「はじめに」にも書かれていますが、この絵本を通じて、むずかしそうに思える権利条約を仲間と語り合うきっかけをつくることができます。

知っていますか?イエローリボン

絵本の中でも紹介されていますが、シンボルマークとしてのイエローリボンには次のような思いが込められています。

イエローリボンとは?
障害のある人もない人も、ともに住みなれたまちで、心ゆたかにその人らしく暮らし、学び、働くことができる社会をめざすためのシンボルマーク

おわりに

障害者権利条約についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?障害者権利条約への関心が、このブログをきっかけに進むと嬉しいです。
このブログは月曜日に、毎週違うテーマで新しい記事を更新しています。
今回のように参考書籍も織り交ぜながらご紹介することも多いので、またのぞいていただけると嬉しいです。

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